相続でかかる費用の内容とは｜ 遺産分割協議書の作成や専門家利用のコストなど

費用の支払いをしなくても相続は開始されますので、法律に従い、相続人であれば亡くなった方が保有していた資産などを無償で承継できます。ただし相続に伴う手続で手数料の支払いが必要となりますし、遺産分割をトラブルなく進めるために専門家を活用するケースも多いです。

相続、遺産分割協議においてどのような費用がかかってくるのかを整理しておきましょう。

 

相続にかかる費用

相続自体に費用はかかりません。法定相続人であれば、何ら金銭を支払うことなく被相続人（亡くなった方）の財産を取得できます。

ただ、その相続に附随する手続で費用が発生することがあります。

 

例えば相続人を調べるには戸籍情報を調べる必要があり、戸籍謄本等を集めるのに若干の発行手数料が発生します。また、所有者の名義を登録している不動産や車両等については名義変更に手数料がかかることもあります。

不動産を取得せず売却したり解体したりするにしてもやはり費用が発生しますし、ご家族の方であれば葬儀にも費用がかかってきます。

 

遺産分割協議書の作成でかかる費用

遺産の相続において特に重要な過程が「遺産分割協議」です。

遺産分割協議とは、相続人が複数いるときに行われる話し合いであって、「誰が何を相続するのか」を話し合うこととなります。取得したい物をめぐって揉めてしまうこともありますし、最終的には全員の合意がなければ決することができず、紛争が長期化してしまうこともあります。

 

さらに、協議がまとまった後で「やっぱり納得がいかない」などと問題を蒸し返されるおそれもあります。そのリスクを回避するためには「遺産分割協議書」の作成が大事といえます。

 

遺産分割協議書の作成は法的に必須とされてはおらず、これがなくても有効に遺産分割を行うことは可能です。しかしながら協議の結果を証拠として使える形で残すためにも、できるだけ作成はしておくべきものです。

 

自分で作成する場合

遺産分割協議書を相続人自身で作成する場合、特に費用の支払いは必要ありません。

協議に参加した各相続人の戸籍謄本等を取得するための費用、本人確認のための印鑑登録証明書の取得費用、各種財産についての証明書を取得する費用などの実費は負担しないといけませんが、専門家への報酬を支払う必要がありません。

 

なお、もし当事者間だけで解決ができないときは家庭裁判所を頼ることになるでしょう。遺産分割調停や審判を行うときは申立に数千円ほどのコストが発生します。

 

専門家に依頼する場合

遺産分割協議書の作成は、法律に強い専門家に任せるのが一般的です。

例えば司法書士や行政書士、弁護士、税理士などを頼ることができますので、信頼できる専門家を探し、遺産分割協議書やその他手続のサポートをしてもらうと、効率的かつ安全に相続手続を進めることができるでしょう。

ただ、ここでネックとなるのが専門家へ支払う報酬です。

 

法的な紛争を解決するプロ、訴訟などにも対応できる弁護士は、現に親族間でトラブルが起こっているときに有用です。ただ、具体的な金額・料金体系は依頼先によって異なりますが、他の専門家と比べても報酬が高額な傾向にあります。

 

司法書士や行政書士は弁護士のように無制限に訴訟に対応できるわけではないものの、紛争が起こっていない事案であればコストを抑えつつ作成依頼を出すことができます。特に不動産問題が絡むことが多い相続においては司法書士を活用することになるでしょう。

 

司法書士は法律問題に広く対処できるとともに登記のプロでもあるからです。対象となる不動産の有無がはっきりしていない段階でも、調査から依頼することができます。遺産分割協議書の作成のみであれば数万円～10万円前後が相場といえますが、やはり金額は依頼先や状況によって異なります。

 

その他の手続についてもサポートを頼むとまた金額は変わってきますし、一度金額の確認も兼ねて相談してみることをおすすめします。

 

専門家へ依頼をした方がいいケース

コストが気になる方は「専門家への依頼をすべきかどうか・・・」と悩むこともあるかもしれませんが、もし法律に強く相続制度にも詳しいのであれば、無理に専門家を頼る必要はありません。

ただ、次のようなケースでは専門家の活用を前向きに検討することをおすすめします。

 

・相続人の数が多い

・相続人や遺産の内容を調べる方法がわからない

・適切な遺産分割の方法を知りたい

・遺産に家屋や宅地などの不動産がある

・遺産の使い込みが疑われる

・契約書などの文書を自分で作成したことがない

・トラブルが起こる可能性を少しでも下げたい