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任意後見開始までの手続きの流れと費用について簡単に解説

任意後見開始までの手続きの流れと費用について簡単に解説

2022/10/18

後見制度は、本人の判断能力が低下したとき、後見人に契約行為等のサポートをしてもらうための制度です。判断能力が低下してから、事後的に後見人等をつけて法的保護を図るのが“法定後見”で、これとは別に事前に後見人を決めておく“任意後見”という制度もあります。
任意後見の場合、加齢や認知症などに備えてあらかじめ本人が後見人となる人物を選ぶことができます。信頼できる人物を選任しておけば将来の不安も和らぐことでしょう。
ここではそんな任意後見制度について、手続きの流れや費用を解説していきます。

任意後見開始までの流れ

任意後見制度の場合、後見開始前の準備行為が必要です。
また、任意後見といっても勝手にその効力を生じさせられるわけではありません。後見開始には任意後見監督人の選任を要します。
そこで後見開始前の準備行為と判断能力低下後の手続にわけて流れを解説していきます。

任意後見制度利用の準備

まずは後見人となってくれる人物を探さなくてはなりません。信頼できる、ご自身を支援してくれる人を探しましょう。その際は「信用できるかどうか」という点のみならず、「法律行為を的確に実行することができるかどうか」という点にも着目しなければなりません。
その観点からは、身近な人物に絞って後見人候補者を探すのではなく、法律に精通した専門家も候補に入れて考えることも重要と言えます。

候補者が見つかれば、将来支援して欲しい内容等を話し合い、任意後見契約を締結します。
一般的な契約の場合、契約書を作成しなくても当事者の合意があれば効力を生じさせることができます。
しかし「言った」「言わない」のトラブルを起こさないため任意で契約書という文書を作成するのが通常で、さらに慎重に契約を交わしたい時には任意で公正証書として契約書を作成します。
ただ、任意後見契約に関しては口約束でその効力を生じさせることはできません。契約内容を文書で作成すること、しかも公正証書として作成することが法的に求められています。
後見開始後は一方当事者の判断能力は低下しており、他方当事者が代理で好き勝手にできてしまうリスクがあります。少しでもこうした問題を防ぐため、契約内容を公証人に見てもらうという過程を必須としているのです。
公正証書とすることで、以降の改ざんや契約書の原本紛失は防ぐことが可能となります。

任意後見監督人の選任と後見開始

本人の判断能力が低下しても、ただちに任意後見が開始されるわけではありません。

家庭裁判所に“任意後見監督人”を選任してもらう必要があります。
本人の住所を管轄する家庭裁判所にて確認し、必要書類を準備。提出書類一式をもって任意後見監督人選任の申立てを行いましょう。

申立て後、家庭裁判所による調査が始まります。
“本人調査”や“親族への照会”、必要に応じて“精神鑑定”などが実施されます。

調査内容を鑑みて審判が下されます。
任意後見監督人を選任することが決まれば、当事者にその旨記された審判所が郵送されます。審判所の郵送後は後見登記がなされるのですが、本人や任意後見人が登記申請をする必要はありません。裁判所の嘱託により後見登記が行われます。

こうして任意後見監督人が選任されることにより、任意後見契約の効力も発生します。
任意後見監督人の監督下で、契約内容に従い、本人に代わって任意後見人が法律行為を行うことが可能となります。

任意後見制度の利用で必要になる費用

任意後見制度の利用にあたっては、申立て費用や公正証書の作成費用、専門家への相談・依頼料、そして後見人への報酬などが必要となります。

公正証書作成費用

当事者の任意で契約書を作成するだけであれば費用をかけずに済むことも多いです。
しかし公正証書の作成をするのであれば費用の発生を避けることはできません。
主に以下の費用を負担することになります。

  • 〇 公正証書作成の基本手数料:11,000円
  • 〇 登記嘱託手数料:1,400円
  • 〇 登記所へ納付する収入印紙代:2,600円

裁判所への申立て費用

家庭裁判所への申立てにも費用がかかります。

  • 〇 申立て手数料:800円
  • 〇 登記手数料:1,400円
  • 〇 郵便切手代:数千円(申立先の家庭裁判所により異なる)
  • 〇 鑑定費用:10~20万円(精神状況の鑑定が必要な場合にのみ発生)

鑑定は本人の判断能力を判定するための手続きです。申立て時に診断書を提出したからといって回避できるとは限りません。
実施される場合裁判所が医師に依頼をすることになり、全体としての費用の額が大きく増すこととなります。

専門家への依頼費用

弁護士や司法書士、行政書士など、依頼できる専門家は複数います。専門家への相談や依頼をしなければならないということではありませんが、任意後見制度を安心して利用するためにはプロのアドバイスを受けておくことが望ましいです。

依頼先の専門家によって相談料・依頼料は異なりますが、公正証書の作成に関しては数万円~十数万円、任意後見監督人の選任手続に関しては数十万円ほどが必要になるケースが多いです。

当事者、親族などの間ですでに紛争が起こっているのであれば弁護士への依頼が効果的ですが依頼料の相場は高くなります。
これに対し司法書士等であれば比較的費用の負担を下げることが可能です。特に不動産の取扱いがある場合には登記のプロである司法書士への依頼が効果的と言えます。

後見人への報酬

後見開始後、後見人は本人をサポートするという仕事を行うことになります。親族が後見人となる場合には無償とすることも可能ですが、後見人に対しては報酬を支払うのが基本です。

この報酬に関して裁判所が示しているのは、「本人の財産額に対応して増える」という考え方です。例えば本人の財産額が1,000万円未満なら月2万円、1,000万円以上なら月3,4万円、5,000万円以上になるなら月5,6万円などと定めます。

その他特別の事情があるのなら、上記基本報酬の50%までの範囲で付加報酬を足すことも認められます。

後見人への報酬は継続的に発生することになりますので、後見開始までの費用よりも重要度が高いと言えます。専門家に相談し、双方納得のいく、適切な報酬設定を進めていきましょう。

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