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成年後見制度とは

本人に代わって財産管理を行う制度

ADULTGUARDIANSHIP

心身の能力が低下した認知症や精神障害を持つ方の人権を守り、生活を支えるための法制度である「成年後見制度」について解説しています。成年後見制度の適用条件・手続きの流れ・成年後見人の役割や義務などの制度の基礎知識や、また成年後見制度を適切に活用することで、高齢や病気などで判断力が低下した人の生活や資産を守る方法についてご説明します。


成年後見制度とは

Adultguardianship

判断能力が不十分な方々を法律面や生活面で保護したり支援したりする制度のことです。

私たちは契約を前提とする社会に生きています。スーパーでの買い物やコンビニでお弁当を買うのも、契約書を作ったり、印鑑を押したりはしませんが、契約です。契約をするには、自分の行為の結果がどのようになるかを判断できる能力が必要となります。判断能力が不十分な場合、そのことによって不利益を被ってしまうおそれがありますので、そうならないように支援するための制度が成年後見制度です。


制度を支える理念

「ノーマライゼーション・自己決定の尊重という理念と本人の保護の調和」が求められています。そのため、単に財産を管理するにとどまらず、本人の生活を支えること(身上配慮義務)が後見人の役割とされています。

ノーマライゼーション

1.

高齢者や障害者であっても特別扱いせず、今までと同じような生活をさせようとする考え方です。

自己決定の尊重

2.

本人の自己決定を尊重し、現有能力(残存能力)を活用しようという考え方です。

身上配慮義務

3.

本人の状況を把握し、配慮する義務です。

種類

任意後見制度

今は元気だが、将来、判断能力が不十分になった時に備えておくための制度です。

今は元気だが、将来が心配。

もしも判断能力が不十分になったら、支援してくれる人が欲しい。そんなとき、支援してくれる人と将来の約束をし、支援内容を決め、あらかじめ私(本人)と支援者の間で任意に契約を行う制度です。加齢にともない、様々な点で能力が減退するのはやむを得ないことですが、そうなっても今までのように自宅で生活をしたい、望んでいた施設に入りたい、病気になっても困らないようにしておきたい。そんなときに信頼できて、支援してくれる任意後見人を今から決めておきたいものです。

支援する人の呼び名
支援を受ける人の呼び名
契約締結時
任意後見受任者
本人
契約発行時
任意後見人
本人

注:任意後見人には契約を取り消す権限はありません。

・任意後見制度とは、判断能力が不十分になった後に支援を開始させるための、任意後見契約に関する法律に基づく契約です。
・契約時に当事者間で合意した特定の法律行為の代理権によって支援するもので、同意権・取消権による支援はありません。

任意後見契約と関連する二つの契約(任意代理契約とみまもり契約)

任意代理契約とは

判断能力のある時から支援を受けるための契約です。
・任意後見制度に基づく契約ではなく、通常の委任契約です。
・契約時に当事者間で合意した特定の法律行為の代理権によって支援します。
同意権、取消権による支援はありません。

みまもり契約とは

具体的な支援は行いませんが、ときどき連絡をとり、あなたを見守りながら信頼関係を継続させるための契約で、適切な時期に任意後見監督人選任申立ての手続きをするタイミングを計ります。

契約内容の検討

具体的な支援は行いませんが、ときどき連絡をとり、あなたを見守りながら信頼関係を継続させるための契約で、適切な時期に任意後見監督人選任申立ての手続きをするタイミングを計ります。

任意後見制度:料金表

任意後見契約書作成(公証役場での立ち会い含む)

手数料 15万円~

任意後見制度利用の家庭裁判所への申し立て

手数料 10万円~

※ 公証役場への申請や家庭裁判所への申し立てには別途費用がかかります。
公正証書作成手数料、印紙代金:20,000円前後
任意後見監督人の費用、裁判所の決定による添付資料(診断書、戸籍謄本など)取得費用:事案に応じます。

任意後見人の受任

月額 5万円~

上記は全て税抜き表示となります。


法定後見制度

すでに、判断能力が不十分な人に代わって、法律行為をしたり、被害にあった契約を取消したりする制度です。

母(本人)が認知症になった。判断能力が不十分なために財産管理や法律行為をすることが困難になっており、支援者が欲しい。
判断能力が減退している高齢者宅にも、悪質業者を含む様々なセールスマンはやってきます。巧みなセールストークに根負けしたり、だまされたりして不本意にも契約をしてしまうこともあります。また、ヘルパーさんを手配したり、入院したりすることもあるでしょう。こんなとき、その人のために取消ができたり(同意権・取消権)、その人に代わって入院契約をしたり(代理権)する人が必要になります。
しかし、すでに判断能力が不十分になっているので、任意後見契約のように契約によって依頼できません。そこで、法律がそのような役割を担う人を決める仕組みが法定後見制度です。法律によって、支援者を定めることから法定代理人という位置づけになります。この法定後見制度利用の要件である判断能力の有無や程度については家庭裁判所が判断します。

支援する人の呼び名
支援を受ける人の呼び名
1補助類型
補助人
被補助人
2保佐類型
保佐人
被保佐人
3後見類型
成年後見人
被後見人

※被補助人・被保佐人・被後見人のことを「被後見人等」と呼びます。
※補助人・補保人・成年後見人のことを「後見人等」と呼びます。

かかわり方

申立できる人

・本人
・配偶者
・4親等内の親族等
・市町村長

必要なもの

裁判所によって異なる場合がありますので、詳細は申立先裁判所でご確認ください。
・申立書
・申立書付票
・本人の戸籍謄本、住民票、登記されていないことの証明書、診断書
・成年後見人候補者の住民票

申立先

本人の住所地の家庭裁判所

費用

申立費用
・収入印紙800円
・収入印紙2,600円(登記費用として)
・切手3,000円から5,000円程度

鑑定費用(必要がある場合)
・おおよそ50,000円
・これら申立に要する費用は、原則申立人が支払うことになります。
・成年後見申立手続き報酬120,000円から


【家庭裁判所の審判】

家庭裁判所は、後見を開始して良いか調査して必要な場合は、成年後見人を選任します。

調査
家庭裁判所調査官が事情を尋ねたり、関係者に問い合わせをしたりします。

審問
必要がある場合は、裁判官等が事情を尋ねます。

鑑定
本人の判断能力について、より正確に把握する必要があるときは、精神鑑定を医師に依頼します。

審判

以上の結果を踏まえ、裁判官が後見開始の審判をします。同時に後見人等の選任を行い、この審判内容は申立人や後見人等に通知されます。

審査期間

2ヶ月以内に終局76.9%
4ヶ月以内に終局94.3%
司法統計:平成26年1月〜12月「成年後見関係事件の概況」より

即時抗告期間(2週間)
任意後見監督人選任却下の審判については異議申立ができます。


後見事務が始まる

支援
家庭裁判所が審判した内容に基づき、後見人等による支援がはじまります。

監督
家庭裁判所は、後見人等を監督し、特に必要がある場合、後見監督人も選任して後見監督人にも監督させます。

報酬(本人の資産から支払われます)
後見人等の報酬→業務内容と本人の資産内容に応じて、家庭裁判所が審判した額となります。
後見監督人等の報酬(選任された場合)→業務内容と本人の資産内容に応じて、家庭裁判所が審判した額となります。


どんな時に利用できるの?

「どういった状況の人が支援を受けることができるのかな?」事例を紹介します。
成年後見制度は、判断能力が不十分な方々を、法律面や生活面で支援する制度です。
では、どういった方が利用できるのか、いくつか場面を紹介いたします。

ケース1

ケース1

ひとり暮らしだが、まだ十分やっていける。しかし、将来は施設に入る手続きをしたり、費用を払ってもらいたい。併せて、これまで経営してきたアパートの管理もお願いしたい。場合によっては今から支援を頼みたい。

ケース2

ケース2

アルツハイマー病と診断された。一人暮らしだが、誰かにサポートをしてもらいながら、自分の意思で悔いのない人生を送りたい。

ケース3

ケース3

親が使うはずもない高額な健康器具等を頼まれるとつい買ってしまい、今後が不安。

ケース4

ケース4

自分が死んだり、認知症になったときに知的障害のある子供の将来が心配。

ケース5

ケース5

認知症の父の不動産を売却し、入院費や施設費にあてたい。

ケース6

ケース6

認知症で寝たきりの父の面倒をみて、財産管理をしてきたが、他の兄弟から疑われている。

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