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みなし相続財産とは?生命保険金や死亡退職金などを取得するときの相続税について

みなし相続財産とは?生命保険金や死亡退職金などを取得するときの相続税について

2023/03/23

亡くなった方(被相続人)の財産を相続により取得するとき、贈与をされたわけではないため贈与税はかからないのが基本ですが、原則として相続税が課税されます。
その際注意しないといけないのが、“純粋な相続財産ではない金銭等に対しても、相続税が課税されることがある”という点です。

「みなし相続財産」がその代表例なのですが、このみなし相続財産とは具体的にどのようなものなのか、みなし相続財産に対する課税のルール、注意点などをここでまとめます。


みなし相続財産とは

相続税の課税対象は、被相続人が生前に持っていた財産です。そのため被相続人の土地や建物、現金、預貯金、有価証券などを相続により取得したとき、その額に応じた課税がなされます。

しかし相続をきっかけに取得する財産は、必ずしも“被相続人が所有”していた財産ということでもありません。

例えば生命保険金や死亡退職金などは、ある方の死亡をきっかけに受給権が発生するものであり、亡くなった方自身が所有しているものではありません。こうした財産は民法上の相続財産ではなく、純粋に相続財産と呼ぶことはできません。

しかし相続税課税の観点からいえば、被相続人が所有していた純粋な相続財産であろうと、そうでなかろうと、区別する必要はあまりありません。実質において被相続人のものと呼べる金銭等が、死亡をきっかけに他人に渡ったのであれば、これを相続財産とみなします。

このルールが適用される財産を「みなし相続財産」と呼びます。
みなし相続財産のルールには、相続税課税の平等を保つ役割があります。

このルールにより、“被相続人が現金のまま1,000万円を所有していた場合には課税されるのに、その分を保険料として納めていれば、その後取得できる保険金には課税されない”という状態を是正することができます。


みなし相続財産の例

みなし相続財産の代表例はすでに説明に挙げた「生命保険金」や「死亡退職金」です。これらについては後で詳しく説明します。

他には「生命保険契約に関する権利」も挙げられます。
例えば保険契約の解約返戻金、契約の続行により発生する満期保険金などを受け取る権利のことです。保険料を被相続人が負担していたという前提が必要ですが、この権利が発生している場合、権利行使により得られる金銭に対しても相続税が課税されます。

個人年金保険などの「定期金に関する権利」もみなし相続財産です。
被相続人が個人年金を、定期的に一定額を受け取っていた場合、死亡後は相続人がその金銭を受け取るようになることがあります。その後給付される財産は、死亡時点で被相続人の財産とはいえないものですが、相続税の課税対象となります。

その他、「特別縁故者に対する相続財産の分与」や「特別寄与者に対する特別寄与料」などもみなし相続財産となります。
受け取った権利や金銭などが課税対象となるのかどうか、詳しくは税理士に相談して確認しておくことが大事です。


みなし相続財産の代表例1:生命保険金

みなし相続財産の代表格の1つが「生命保険金」です。
とはいえ、生命保険金が常に相続税の課税対象になるわけではありません。そこで、どのような場合にみなし相続財産として課税されるのか、また、その際の計算方法についても以下で説明します。


生命保険金に相続税が課税される条件

生命保険金がみなし相続財産となるには、次の条件を満たさないといけません。

  • 被保険者:被相続人
  • 保険料負担者:被相続人

もし、保険金受取人が保険料の負担もしていたのであれば、被相続人の財産が変化したものと捉えることはできず、相続税が課税されるべきではありません。
ただしこの場合、所得税の課税対象にはなりますので要注意です。

さらに、保険料負担者が被相続人以外であって、さらに別の者が保険金受取人として設定された契約の場合は、所得税でもなく、贈与税の対象となります。受取人は保険金を受け取ることができますが、受け取った金銭の大きさに応じて贈与税の申告手続をしないといけなくなります。


生命保険金の非課税枠の計算方法

受け取った生命保険金がみなし相続財産となる場合でも、全額が課税されるとも限りません。

例えば法定相続人が1人おり、その方が保険金を得たときは、500万円を限度に非課税となります。取得した額が500万円以下なら非課税となり、1,000万円を得たなら500万円に限って課税されます。

この非課税枠は、法定相続人の数に応じて、次の計算式に従って算出されます。

非課税枠の額 = 500万円×法定相続人の数

つまり、法定相続人が2人いるなら1,000万円まで、法定相続人が5人いるなら2,500万円まで非課税となるのです。


みなし相続財産の代表例2:死亡退職金

生命保険金に並ぶ代表的なみなし相続財産に「死亡退職金」があります。
こちらも同様に、条件と非課税枠の計算方法を紹介します。


死亡退職金に相続税が課税される条件

死亡退職金が支給されるのは、ある企業に勤めていた方が亡くなったときです。企業によっては死亡退職金が支給されることがあり、それが金銭であろうと物であろうと、その他の権利であろうと、実質的には被相続人の退職金として支給されるはずの金品ですので、みなし相続財産となります。

ただし、相続税が課税されるのは、死亡後3年以内に支給が確定されたものです。
3年を経過してから支給が確定したものについては、所得税が課税されます。

なお、生前に本人が退職金を受け取ったなら当然相続税が課税されることはなく、所得税の対象として取り扱います。


死亡退職金の非課税枠の計算方法

死亡退職金に関しても非課税枠が設けられています。

そしてその計算方法も生命保険金と同様、次の計算式に従います。

非課税枠の額 = 500万円×法定相続人の数

死亡時点において法定相続人が多いほど、非課税枠は大きくなります。


みなし相続財産があるときの注意点

みなし相続財産に該当する金銭や権利などを取得するときには、次の点に注意しましょう。


相続放棄をすると非課税枠が使えなくなる

相続放棄の申述を家庭裁判所で行うことで、相続人としての立場を捨てることができます。借金などの負債が膨大であるなど、相続することのリスクが大きな場合に検討をする手続です。

しかし、みなし相続財産と呼ばれる財産は純粋な相続財産ではなく、相続人として受け取るものではありません。そのため、相続放棄をしても契約に基づいて保険金を受け取ることはできますし、死亡退職金についても受け取ることができます。

ただ、非課税枠は相続人に限って適用される制度です。
そのため相続放棄をした方は、非課税枠を利用することができず、比較的大きな相続税がかかることになります。


みなし相続財産は遺産分割の対象外

みなし相続財産は純粋な相続財産ではなく、これはつまり「遺産分割の対象から外れる」ということも意味しています。受取人が指定されており、当該受取人固有の財産になるからです。

そのため、みなし相続財産はあくまで税制上の取り扱いの話であって、その他一般の相続財産と混同して扱わないこと、遺産分割の対象として扱わないようにしないといけません。


配偶者・子ども・親以外は相続税が2割加算になる

相続税については、被相続人の配偶者や子ども、親以外に対して、“税額を2割加算する”とのルールが設けられています。
厳密に言うと、“被相続人の配偶者や1親等の血族以外”に適用されます。

これはみなし相続財産がある場合も同様です。そのため契約などで孫が受取人となっているときや、被相続人の議父母、兄弟姉妹、祖父母、内縁の妻などが受け取るときについても、2割加算のルールが適用されてしまいます。

ただし、孫が代襲相続人として当該財産を受け取るときは適用されません

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