遺産分割協議を進めるときに知っておきたい5つのポイント
2025/01/09
相続開始後、いくつか相続人が進めるべき手続があります。その中でも重要な手続が遺産分割協議です。これは相続人各自が取得する財産を決めるための話し合いのことで、この場をきっかけにトラブルも起こりやすいため注意しなくてはなりません。
特に知っておきたいポイントが次の5つです。当記事ではこの5つについてまとめました。
① 相続人の調査と遺産の把握
② 不動産の遺産分割
③ 相続税の負担を考慮した遺産分割
④ 遺産分割協議書の作成
⑤ わからないことは専門家に相談する
ポイント①相続人の調査と遺産の把握
遺産分割協議のポイント①相続人の調査と遺産の把握 |
|
なぜ重要か |
・遺産分割協議では相続人全員の話し合いが必要で、相続人が明らかにならない遺産分割が進められないため。 ・分割をする遺産の内容が明らかにならないと協議ができないため。 |
注意点 |
・調査は戸籍謄本等を取り寄せて行うこと。 ・包括遺贈を受けた第三者も指定の割合に従い法定相続人同様の権利義務を持つため、包括受遺者も調査すること。 ・借金等の負債も遺産の一部であり、相続人らが引き継ぐことになるため、プラスもマイナスも含めて調査を進めること。 |
遺産分割協議の下準備として、「相続人の調査」および「遺産の把握」が必要です。多くの場合亡くなった方の配偶者や子どもが相続人になりますが、前の配偶者との間で生まれた子どもや隠し子の存在にも注意して慎重に調査を進める必要があります。
また、このときの調査方法は戸籍集めが基本です。戸籍謄本や除籍謄本、改製原戸籍を集めて誰が相続人なのかを明らかにしていきます。
遺産を把握するときは、まず亡くなった方の自宅をくまなく調べて財産関係の書類を集めていきましょう。タンスや机の引き出しの中に現金や遺言書、通帳などが保管されていることもあります。あとになって財産が見つかると処理に手間がかかりますので、しっかりと調べておきましょう。
なお、相続対象の遺産はプラスの価値を持つものばかりではありません。マイナスの価値を持つ負債についても相続対象です。借金が残っているときは相続放棄の検討も必要になりますので、要チェックです。
ポイント②不動産の遺産分割
遺産分割協議のポイント②不動産の遺産分割 |
|
なぜ重要か |
・不動産の遺産分割では揉めることが多いため。 ・相続人間の利益に偏りが生じやすいため。 ・不動産を取得した方が納税資金に困ることがあるため。 |
注意点 |
・現物分割、代償分割、共有分割、換価分割それぞれの特徴を理解し、最適な方法で分割すること。 ・相続税の計算をしておくこと ・相続登記を忘れないようにすること。 |
不動産相続では、さまざまな観点からトラブルが起こりやすいです。例えば次のような理由でトラブルが起こります。
・現物のまま取得したいという方が複数いることによる取り合い
・不動産を取得した人が他の財産を取得できなくなり、納税資金が不足した
・共有状態で相続したことによって管理・処分がしにくくなった
特に土地を取得するときは相続税にも留意して遺産分割を行いましょう。相続税評価額が高額になりやすく、相続税の負担も大きくなりやすいためです。ただ、配偶者が取得したり特例を利用したりすることで税負担が軽減できることもあります。
なお、2024年4月からは法改正により相続登記が義務となります。登記による名義変更が必要ですので、司法書士に依頼して相続開始から一定期間内に必ず登記を行うようにしましょう。
ポイント③相続税の負担を考慮した遺産分割
遺産分割協議のポイント③相続税の負担を考慮した遺産分割 |
|
なぜ重要か |
遺産分割の方法によって納付すべき相続税の額が変わるため。 |
注意点 |
・基本的な計算方法に従って税額を把握するだけでなく、控除や特例も踏まえた工夫が必要。 ・納税額だけでなく納税資金も意識して現金、預金の分割方法を考えること。 ・二次相続も含めて、全体としての税負担を考えること。 |
相続税の負担は、相続人によって異なります。特定の人物であれば、取得する財産の評価額を特例によって下げられることもありますし、控除が使えることもあります。また、納税が必要になるときは現金や預金もバランスよく分配しないと、相続人の手持ちの現金から納税をしないといけなくなるため要注意です。
さらに、今回の相続で配偶者がいるときは、二次相続も考慮した遺産分割をすることが大切です。配偶者は配偶者控除でほとんど相続税の負担がかかりませんが、配偶者控除に頼っていると当該配偶者が亡くなったとき、子どもに大きな負担がかかってしまうのです。
税理士のアドバイスも参考にしながら遺産分割を進めましょう。
ポイント④遺産分割協議書の作成
遺産分割協議のポイント④遺産分割協議書の作成 |
|
なぜ重要か |
・遺産分割の結果を証明する資料がないと後々トラブルになるおそれがあるため。 ・名義変更等の手続で遺産分割協議書の提出を求められることも多いため。 |
注意点 |
・当事者全員を特定し、確かに本人の意思に基づいて合意したことを書面に記すこと。 ・遺産分割の対象になった財産についても具体的に特定すること。 |
遺産分割協議書の作成は法律上義務とされているわけではありません。しかし実務上は必須の文書であり、これがなければ後続の手続が円滑に進められません。例えば相続登記をするときも遺産分割協議書でその証明を行います。
なお、遺産分割協議書には「相続人全員の氏名・住所」「署名押印」「遺産の内容と分割内容」を確実に記しておきましょう。書面作成に不安があるときは司法書士にご相談ください。
ポイント⑤わからないことは専門家に相談する
遺産分割協議のポイント⑤わからないことは専門家に相談する |
|
なぜ重要か |
・よくわからないまま手続を進めていると、必要な財産が手に入らないなど、取り返しのつかない事態が起こる可能性があるため。 ・無理に自力で対応していると余計な時間と手間がかかってしまうため。 |
注意点 |
・相続手続に対応できるのは国家資格を持つ特定の有資格者に限られるため、司法書士や弁護士、行政書士、税理士などを頼ること。 ・料金について依頼を出すためによく確認しておくこと。 |
相続に詳しい方でなければ、各種手続に対応していく中で「どうすればいいのかよくわからない」「時間がかかってしまい疲れる」と悩むこともよくあります。そんなときは、気軽に専門家も利用しましょう。
例えば、司法書士なら法定な手続に精通しており相続制度にも詳しいです。登記のプロでもあるため相続登記が必要な場面でも問題なく対処できます。他にも、相続税の計算については税理士に、訴訟トラブルが起こりそうなときは弁護士を頼ることで、円滑に問題を解決できるでしょう。
----------------------------------------------------------------------
相続専門のあかりテラス
住所 : 熊本県熊本市東区御領2-28-14 大森ビル御領203
営業時間:平日 9:00 ~ 18:00
土日祝もご予約でお受けいたします
電話番号 : 096-285-6841
----------------------------------------------------------------------