家族信託で相続対策| 被相続人やその家族などが得られるメリットとは
2025/01/09
家族信託は柔軟性の高い資産運用・財産承継の手法であり、相続対策としても有能です。
なじみのある仕組みではありませんし不安に思うこともあるかもしれませんが、専門家も頼りながら準備を進めていけば心配はありません。むしろ他の手法にはないメリットが得られますので、家族信託で相続対策を打つこと、あるいはその他の手法と併用しながら対策を打つことも検討してみましょう。
ここではそのメリットに焦点を当てて解説をしておりますので、相続対策の検討に役立てていただければと思います。
メリット①相続手続中の資産運用にも困らない
賃貸物件を持っている場合や投資用の株式を持っている場合など、管理が必要な資産を保有しているときは、「相続開始後しばらく適切な運用が難しくなる」という問題に直面するかもしれません。
遺産分割で当該資産の取得者が定まるまで時間がかかりますし、その遺産分割協議をするまでにもしないといけない相続手続がいくつもあります。
しかし家族信託であらかじめ管理を担う受託者を定めておけば、相続開始後も滞りなく資産運用を継続させられます。家族信託は相続のタイミングに合わせて開始する必要はなく、被相続人となる委託者が生きているうちから開始できますので、資産の引き継ぎにも余裕を持って取り組むことができるでしょう。
メリット②柔軟に財産の承継ができる
死亡により相続が開始されると、法律に従い法定相続人が亡くなった方の財産を取得することになります。一つひとつ指定をしなくても、自動的に身近な方が取得できるよう仕組みができているのです。
ただ、取得の仕方を指定したいのであれば、相続を待つだけでなく別途対応が必要となります。その代表例が「遺言書の作成」です。財産の承継について指定する遺言を残しておけば、誰に何を取得してもらうかを予定することができます。
また、家族信託を使って財産の承継を指定することも可能です。契約締結などの手間はかかりますが、家族信託の仕組みを使えばより柔軟な設定をすることができ、例えば遺言書だとできない「将来の相続も見越した引継ぎ」も実現できます。
遺言書は、「遺言者である本人が亡くなったとき」に関してのみ機能しますので、「承継先として定めた受遺者が亡くなったとき」についてまで拘束することはできません。そのため二次的な取得先を定めることができないのです。
家族信託だとそのような制限もなく、二次相続発生後やさらにその後に至るまで柔軟に対応が可能です。
メリット③共有不動産による問題を回避できる
遺産に不動産が含まれていると遺産分割の方法で悩むことが多いです。
誰か1人に所有権を集約せず複数人で共有するケースもあるのですが、基本的に共有は避けた方が良いと考えられています。共有してしまうといざ処分をしたくなったときでも1人で判断できなくなってしまいますし、その他大規模なリノベーションなど、大きな決断をするたびに全員の意見を聴かないといけなくなります。
今現在関係性が良好であっても今後どうなるかはわかりませんし、共有者の1人が認知症になってしまうと問題がさらに複雑になってきます。
もし、こういった共有不動産による問題を回避したいのなら家族信託も視野に入れると良いです。相続開始前であれば、不動産を信託財産にしておくことで遺産分割の対象から外すことができ、受託者1人にその管理を一任することができます。
遺産分割協議を経ていったん共有状態になってしまっていても、共有者全員の協力により家族信託を始めることはできます。意見が揃ううちに家族信託を始めることも検討してみると良いでしょう。
メリット④認知症・障害のある方へのサポートができる
相続、遺言書を使った遺贈、いずれも財産を取得してもらうことができます。しかしその取得者が認知症の方・障害のある方だと、適切に財産を使うことができません。そのような方にはさらに売買やサービスへの申し込みなど、法律行為のサポートが必要です。
「成年後見制度」を利用することで当人の生活支援を図ることもできますが、家族信託も別の面から当人の支援ができます。
例えば預貯金などを信託財産とし、判断能力がしっかりしている家族を受託者として定め、認知症の方や障害のある方などを受益者として定めるのです。そうすることで、受託者の判断に基づいて財産の処分などができるようになります。判断能力に不安がある家族がいても、家族信託によって相続後の継続的な支援もしてあげられます。
なお、当人の法律行為までは家族信託でカバーできませんので、成年後見制度との併用も視野に入れて検討すると良いでしょう。
メリット⑤家族が相手で安心できる
家族信託は、信託の仕組みを家族内あるいは親族内で行うことをいいます。家族信託でなくとも、金融機関を受託者とする信託サービスを使って相続対策を打つことも可能ですが、家族信託とすることである種の安心感を得ることができます。子どもや兄弟など、誰か信用できる家族を受託者として定めることができるためです。
業者を受託者とすることにも良さはありますが、特に身内で資産を運用していきたいという気持ちが強い方にとってはメリットが大きいです。
また、業者相手だとある程度決まったサービスの型がありますので、柔軟性があるとはいえ完全に自由な運用設計を行うことができません。家族信託なら、受託者となる家族等が納得してくれれば好きな形で運用を始められます。
相続開始前から多くのメリットが得られる
家族信託によって、相続開始後に限らず、委託者が存命中である相続開始前段階から多くの恩恵を受けられます。
例えば家族信託を開始しておくことで、委託者が認知症により判断能力が衰えてもその影響を受けることなく資産運用を続けられます。このことは相続対策になるとともに、委託者(のちの被相続人)の生活支援としても有効です。
このように工夫次第で家族信託は多くの問題に備えることができます。その反面、信託を始めるまでの手間が大きいことや節税対策が難しいなどの難点もありますが、家族信託に詳しい専門家も頼りつつ検討を進めていけば相続対策もスムーズにできることでしょう。
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