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家族信託と生前贈与の違いとそれぞれに適した利用シーンについて

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【コラム】家族信託と生前贈与の違いとそれぞれに適した利用シーンについて

【コラム】家族信託と生前贈与の違いとそれぞれに適した利用シーンについて

2026/02/03

家族信託と生前贈与はともに財産に関する生前対策として活用されていますが、その目的、仕組み、効果などに違いがあります。両者の特徴を理解することで、ご自身の状況に適した方法を選択できるようになるでしょう。

 

主な目的が違う


家族信託の場合、「財産の管理や運用を他人に委ねること」が主な目的です。ある財産の所有者が家族など身近な親族にその管理等を任せ、その財産を委託者へ還元または第三者に受け取ってもらいます。そのため家族信託は財産管理の一手法と考えられています。

 

一方の生前贈与は「財産を他人に受け取ってもらうこと」が主な目的です。単純に、ご自身以外の誰か、家族やその他第三者に無償で渡したいときに贈与を行います。なお、一般に「贈与」と呼ばれている行為と生前贈与に違いはなく、相続前の対策として取り組む贈与が生前贈与と呼ばれています。

 

財産に対する所有権や管理権が違う


家族信託でも生前贈与でも、財産の所有権と管理権が移転することになります。家族信託なら受託者(家族)へ、生前贈与なら受贈者へ移転します。

 

しかし家族信託における所有権の移転はあくまで便宜上のものであり、名義人が変わっても信託財産から利益を受ける権利は受益者に残ります。委託者と受益者を別人に設定することもできますが、家族信託の多くは委託者と受益者を兼ねており、この場合は所有権や管理権が受託者に移ったとしても実際に信託財産からの恩恵を受けるには元の所有者(委託者兼受益者)となるのです。
その関係上、受託者は所有者になるものの、完全に自由な裁量に基づいて管理運用することは認められません。受益者のために、信託契約に沿った管理運用をしなければなりません。

 

例)父親が賃貸物件(アパートなど)を自らの子に信託し、父親を受益者にしたとする。アパートは長男名義になるが、そこから発生する家賃収入は父親のものとなる。所有者ではあるものの、長男が勝手に当該物件を売却してはいけない。

一方、生前贈与をした場合は所有権も管理権限も、そこから得られる利益も、受贈者へと移転します。贈与を受けたあとは受贈者が好きなように使用・収益・処分できます。

 

契約形態や法的根拠が違う


上述のとおり家族信託には委託者と受託者、そして受益者という3者が登場します。委託者が財産を受託者に信託し、これを受けた受託者は契約に従い管理運用。そしてその信託財産そのものやそこから生じる利益を受益者に還元するのが基本的な仕組みです。

 

具体的なルールは「信託契約」を締結することで定めますが、その根底には「信託法」という法律があります。信託法に則って、その範囲内で契約を交わして3者間で進めていくことになります。
たとえば相続により受託者が受益者としての立場も兼ねる状態が1年以上続いてしまうと強制的に家族信託終了してしまうことが法定されています(信託法第163条第2号)。このような信託法上のルールも踏まえたうえで家族信託を設計することが重要です。
 

一方の生前贈与は、財産を無償で与える贈与者とこれをもらい受ける受贈者の2者間で交わす「贈与契約」に基づきます。その根底には「民法」という法律がありますので、民法に則って契約も締結します。
たとえば民法では、受贈者側が贈与の受諾をした時点で効力が生じると定めていたり(民法第549条)、書面によらず約束をした贈与ならいつでも解除できると定めていたり(民法第550条)、そのほかいくつかの基礎的なルールを定めています。

 

財産の取り扱いに対する柔軟性が違う


家族信託の大きな特徴は「財産の管理運用に対する柔軟性の高さ」にあります。契約で前もって定めておけば、信託財産を今後どのように扱うのか、運営方法や売却に関することまで細かく指定することができます。そのため不動産を信託した場合、売却を受託者にしてもらい、その資金で新たな資産購入をすることなども契約内容に含めることができます。
その効力は委託者の死後も継続させることができ、財産の承継先を定めておけば信託契約を遺言の代わりのように活用することもできます。さらに遺言では指定できない「世代を超えた承継」も実現できるのです。

 

生前贈与の場合は贈与者がその後財産の取り扱いについてコントロールすることはなく、贈与者は財産に対する権利を失います。その反面、受贈者は贈与財産に対する全権限を得ることができます。
また、契約の効力は基本的に家族信託のように継続するものではなく、一度きりです。

 

家族信託と生前贈与のどちらを選ぶべきか


家族信託と生前贈与はその目的や効力などに大きな違いがあり、単純に優劣を付けられるものではありません。それぞれに適したシーンがありますので、ご自身の求めること、家族・親族などの意向も踏まえ、もっとも適した方法で財産の管理や移転を進めると良いでしょう。

 

《 家族信託が適するシーン 》
・    認知症への備えが必要な場合
例)80代の親が賃貸アパートを保有しており、その管理を子に任せたい。
・    資産の積極的な活用が必要な場合
例)空き家をリフォームして売却したり、収益物件の建て替え計画を進めたりする。
・    複数世代にわたる承継を指定したい場合
例)配偶者→子→孫といった段階的な承継を設計する。
・    障害のある家族の生活支援を行う場合
例)障害のある子に対し継続的な生活資金を援助する。

 

《 生前贈与が適するシーン 》
・    所有権移転が目的の場合
例)子に1,000万円をすぐに渡す必要がある。
・    相続税の節税をしたい場合
例)贈与税の基礎控除や非課税特例を活用して財産を贈与し、相続税の課税対象から外す。※相続直前の贈与では相続税の課税を回避できない可能性があるため要注意。
・    特定の財産を確実に受け取ってほしい場合
例)贈与者に判断能力があるうちに贈与を実行し、資産が承継されたことを確認する。


なお、両方の仕組みを活用することも問題ありませんので、財産の内容や目的に合わせて部分的に生前贈与を行い、部分的に信託をする、などと併用することも視野に入れると良いでしょう。
 

  

 

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