【コラム】成年後見制度の利用シーン|後見・保佐・補助・任意後見に適したケースとは
2026/02/03
成年後見制度は、認知症や知的障害、精神障害などにより判断能力が不十分な方を保護・支援する仕組みです。後見や保佐、補助、任意後見に分類することができ、当記事ではこの成年後見制度について、それぞれ利用が適しているケースを紹介していきます。
成年後見制度の種類について
判断能力が低下した方のために、事後的に利用できる成年後見制度は法定後見と呼ばれ、さらに本人の判断能力の程度によって次の3つに分類されます。
1. 後見制度(判断能力がまったくない場合)
2. 保佐制度(判断能力が著しく不十分な場合)
3. 補助制度(判断能力が不十分な場合)
それぞれ本人を支援する役割の成年後見人・保佐人・補助人がつき、各枠組みで定められた法律上の権限に従い職務を遂行することになります。
一方、本人と支援を行う任意後見人(準備段階では「任意後見受任者」と呼ばれる)が契約を交わして備えておくのが任意後見です。有効な契約を交わすため、契約内容を理解できる程度の判断能力が残っていないと任意後見を始めることはできません。
後見制度の利用が適しているケース
「後見」は、判断能力を欠いている方を対象とした、もっとも保護レベルが高い法定後見です。
そこで利用が適しているケースとしては次のような例が挙げられます。
● 生活能力に関して・・・
▽ 日常の買い物を一人でできない場合
▽ 家族の名前や自分の居場所がわからなくなる場合
▽ 徘徊や危険な行動を繰り返しており見守りが必要な場合
▽ 遷延性意識障害(植物状態)の状態にある場合
● 財産管理に関して・・・
▽ 重度の認知症にあり預金の引き出しもできない場合
▽ 高額な商品も次々に購入してしまう場合
▽ 詐欺被害に遭っている場合
● 契約・法律行為に関して・・・
▽ 介護施設への入所や医療契約の内容を理解できない場合
▽ 自宅を売却して入所費用に充てたいが、本人が意思決定できない場合
▽ 相続が発生したが本人が遺産分割協議に参加できない場合
このような状況にあるのなら後見開始を求めて家庭裁判所で手続きを行いましょう。後見人が介護施設との契約や預金の管理などを全面的に代行できるようになり、ご家族の負担も大きく軽減されることでしょう。
保佐制度の利用が適しているケース
「保佐」は、判断能力が著しく不十分な方を対象とした、後見に次いで保護レベルが高い法定後見です。
そこで利用が適しているケースとしては次のような例が挙げられます。
● 生活能力に関して・・・
▽ 日常の買い物程度は自分でできるものの、重要な財産の処分には不安がある場合
▽ 日・時間帯により認知症の症状が変動する「まだら認知症」にある場合
● 財産管理に関して・・・
▽ 生活費の管理はできるが高額な預金や不動産の管理は難しい場合
▽ 多額の借金を繰り返しており生活が破綻するおそれがある場合
▽ 極端な浪費傾向がある場合
● 契約・法律行為に関して・・・
▽ 知的障害があり、複雑な契約内容が理解できない場合
▽ 不動産の貸借やお金の貸し借りなど重要な契約についての判断が難しい場合
▽ 悪徳業者に騙され不要な契約を交わしてしまう危険性が高い場合
このような状況にあるのなら保佐開始の手続きも検討しましょう。特定の重大な行為について保佐人のサポートを受けられるようになり、大きな被害・損失の発生リスクを下げることができます。
補助制度の利用が適しているケース
「補助」は、判断能力が不十分な方を対象とした法定後見で、部分的に法的な支援を受けられるようになる制度です。
そこで利用が適しているケースとしては次のような例が挙げられます。
● 生活能力に関して・・・
▽ 軽度の認知症で特定の場面での判断に迷いがある場合
▽ 精神障害があり症状が悪化ときの判断に不安がある場合
▽ 発達障害により特定の分野に苦手意識がある場合
● 財産管理に関して・・・
▽ 大きな財産の取扱いには不安がある場合
● 契約・法律行為に関して・・・
▽ 住宅ローンや保険など、複雑な契約内容の理解に不安がある場合
▽ 不動産売買など特定の重要な法律行為についてのみサポートが欲しい場合
このような状況にあるのなら補助開始の手続きも検討しましょう。特定の分野・行為についてのみの支援を求めることができ、後見や保佐に比べ、本人に対する制約も最小限に留めることができます。ただし、保護対象となる本人の同意がなければ家庭裁判所への申し立てができない点には注意してください。
任意後見制度の利用が適しているケース
「任意後見」は、判断能力が低下した場合に備えて、本人が後見人と契約を交わし、その契約に基づいて法的なサポートを行う制度です。任意後見でも家庭裁判所の監督下にあるものの、比較的自由度が高く本人の希望に沿った支援ができるという特徴を持ちます。
そこで利用が適しているケースとしては次のような例が挙げられます。
・ 将来の認知症リスクに向けて、元気なうちから準備しておきたい場合
・ 信頼できる特定の人(親族、知人、専門家など)にサポートしてほしい場合
・ 法的な支援の内容・範囲を自分で定めたい場合
・ 身寄りがなく、老後のことが心配な場合 など
個々の状況に応じて適切な制度を選択すれば、安心した暮らしを守ることができるでしょう。判断に迷う場合は、専門家や役所の窓口などに相談することをおすすめします。
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