【コラム】家族信託にかかる費用|高額になるケースやコストを抑える方法とは
2026/02/17
家族信託は相続対策や高齢者の財産管理対策として注目されていますが、「費用はどれくらいかかるのだろうか?」と気になる方も多いかと思います。具体的な金額は信託する財産の内容やその運用方法によっても大きく異なるのですが、当記事で「家族信託では何に対してコストが発生してくるのか」を説明し、全体のイメージが掴めるように紹介していきます。
家族信託で発生する基本的な費用
家族信託を始める際にかかる費用は、大きく分けて「各種手数料などの実費」と「司法書士などの専門家に対する報酬」の2つに分けられます。
実費としては、「公正証書の作成費用」や「信託登記の登録免許税」などが含まれ、これらは信託財産の内容や金額に応じて決まります。
一方、専門家への報酬に関しては、多くの場合、信託財産の合計額に対して一定の割合で計算されます。一般的には信託財産の1%程度が目安とされており、信託財産の合計額が小さいときは最低報酬額が適用され、その際は30万円程度で設定されることが多いです。
高額の費用が発生しやすいケース
家族信託の費用が高額になる主な要因は、信託財産の規模と依頼する運用の複雑さにあります。
特に以下のような場合には、費用が大幅に増加する可能性があります。
●信託財産に複数の不動産が含まれるケース
・・・各不動産に対する信託登記が必要となり、登記代行手数料として1件につき10万円程度費用が増えることもある。
●複雑な財産構成や特殊な要望があるケース
・・・資産運用についてオーダーメイドの設計が必要となり、コンサルティング費用が通常より高額になる。また、受益者代理人や信託監督人を設置するとなれば、それぞれに対して月額1万円程度の報酬が継続的に発生する。
不動産があると実費の部分が膨らんできます。また、財産構成が複雑であったり運用に対し高度な判断を求めたりするようなケースだと専門家に対する報酬が大きくなってきます。
受託者への報酬を設定する場合はランニングコストが発生
家族に財産管理を任せるときの信託が家族信託です。通常は、親などを委託者とし、その子どもなど委託者より若い家族を受託者として定めて認知症や相続へ備えます。
そしてこの家族信託の場合は金融機関などの事業者に受託者を依頼するわけではありませんので、受託者に対する報酬の支払いも必須ではありません。報酬が受けられなくても、家族であれば家族信託による利益を間接的に受けられる可能性が高いためです。
たとえば委託者と受託者が同じ生計で暮らしている場合、あるいは委託者の推定相続人が受託者である場合などでは、信託契約に沿った適切な管理運用は受託者自身の財産を守ることにもつながります。
一方で、受託者に対する報酬の支払いを設定することも不可能ではありません。特に受託者への負担が大きなケースでは報酬の支払いを定めることもあり、このときのランニングコストは「月々数万円」あるいは「収益の5~10%程度」となるのが相場です。
コストを抑える方法
「家族信託にあまりコストをかけられない」という場合、以下の方法も検討してみましょう。ただしそれぞれにデメリットもありますので注意が必要です。
専門家に頼まず手続きを行う
実費の発生は避けられませんが、専門家に相談や依頼をせずすべてご自身で家族信託の手続きに対応すれば、専門家に対する報酬分はコストを浮かせられます。
ただし、ご自身で対応することを検討するなら、「信託契約書を作れるか」「適切な契約内容を考えられるか」「将来のトラブルを想定した信託を設計できるか」「登記申請に対応できるか」といった点も考慮してください。
信託財産を必要最小限に絞る
一般的に、信託する財産の合計額が大きいほどコストも増大します。そのためコストをできるだけ抑えたいのであれば、信託するものを必要最小限に抑えるよう工夫しましょう。
そもそも家族信託を利用するとしても全財産を信託する必要はありません。利用目的に応じて、たとえば資産凍結を防ぎたい分、将来的に所有者を移転する必要がある分のみに絞ると費用も小さくなります。
ランニングコストが発生しないようにする
受託者に対する報酬を設定せず、そのことについて受託者からの納得も得られれば、税金等の実費を除くランニングコストはゼロに抑えられます。場合によっては司法書士などの専門家を受益者代理人、信託監督人として設置することもありますが、これをしないことで報酬の支払いも発生しなくなります。
ただし、高度な運用を求めるケース、高額な信託財産を託すケースなどでは、適切な信託を担保するためにも受益者代理人または信託監督人を設けた方が良いこともあります。複雑な事案においてコストばかりに着目していては、かえってトラブルを防ぐことができず損失が生じる危険性もあるためご注意ください。
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