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家族信託の登記にかかる費用|不動産信託の登録免許税について

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【コラム】家族信託の登記にかかる費用|不動産信託の登録免許税について

【コラム】家族信託の登記にかかる費用|不動産信託の登録免許税について

2024/07/26

信託財産に不動産が含まれる家族信託では、所有権移転登記と信託登記を行います。

 

登記手続には、司法書士へ支払う報酬のほか、国に納める登録免許税などの費用がかかります。登録免許税の金額は、不動産の固定資産税評価額や登記の内容によって異なります。

 

「どのようなときに登記費用が必要になるのか」「登録免許税はいくらかかるのか」について、家族信託に関する登記費用を中心に解説します。

 

※本記事は2026年8月時点の法令・税率に基づいています。

 

▼家族信託の解説動画はこちら

 

不動産を家族信託するときは登記が必要

 

信託では、主に次の3者が当事者となります。

 

  • 委託者:自分の財産を信託する人
  • 受託者:信託財産を管理・処分する人
  • 受益者:信託財産から利益を受ける人

 

家族信託では、委託者と受益者を同じ人とする「自益信託」が多く利用されています。例えば、父を委託者兼受益者、子を受託者とする形です。

 

受託者には、信託財産を自分の財産とは分けて管理する「分別管理義務」があります。

金銭を信託する場合は、信託専用口座や信託口口座などを利用して、受託者個人の財産と区別して管理します。

 

不動産を信託する場合は、受託者への所有権移転登記と、その不動産が信託財産であることを示す信託登記を行います。

 

信託登記をすることにより、その不動産が受託者個人の財産ではなく、信託財産として管理されていることが登記簿上に公示されます。

 

所有権移転登記は、原則として委託者と受託者が共同で申請します。一方、信託登記部分については、法律上、受託者が単独で申請できます。ただし、通常は所有権移転登記と信託登記を同時に申請します。

 

家族信託の登記にかかる費用

 

家族信託の登記にかかる主な費用は、次のとおりです。

 

  • 登録免許税
  • 司法書士報酬
  • 登記事項証明書や固定資産評価証明書などの取得費用
  • 郵送費や交通費などの実費

 

自分で登記申請を行う場合には司法書士報酬はかかりませんが、登録免許税や証明書の取得費用などは必要です。

 

家族信託を始めるときの登録免許税

 

委託者から受託者へ信託を原因として所有権を移転する場合、所有権移転登記部分には登録免許税が課税されません。

 

ただし、その不動産について信託登記を行うため、信託登記部分の登録免許税がかかります。

 

信託登記の登録免許税

 

  • 建物:固定資産税評価額×0.4%
  • 土地:固定資産税評価額×0.3%

 

土地の0.3%という税率は、2029年3月31日までに受ける登記に適用される軽減税率です。本来の税率は0.4%です。

 

計算例

 

次の不動産を家族信託するものとします。

 

  • 建物の固定資産税評価額:1,000万円
  • 土地の固定資産税評価額:5,000万円

 

登録免許税は、次のように計算します。

 

建物
1,000万円×0.4%=4万円

土地
5,000万円×0.3%=15万円

合計
4万円+15万円=19万円

 

したがって、この場合の登録免許税は19万円です。

 

なお、登録免許税や登記にかかる費用を、委託者、受託者、受益者のうち誰が実際に負担するかについては、信託契約の内容や当事者間の合意によって異なります。

 

信託財産に金銭が含まれている場合は、信託契約の定めに基づき、登記費用を信託財産から支出することもあります。

 

信託中に変更があったときの登記費用

 

登記費用が発生するのは、家族信託を始めるときだけではありません。

信託期間中に受益者や受託者などが変更された場合は、変更内容に応じて登記手続が必要になることがあります。

 

例えば、受益権の贈与や受益者の死亡によって受益者が変更された場合は、信託目録に記録されている受益者の変更登記を行います。

 

信託登記の変更にかかる登録免許税は、原則として不動産1個につき1,000円です。土地と建物がそれぞれ1個ずつある場合は、合計2,000円となります。

 

ただし、受益者の死亡を原因として信託そのものが終了する契約になっている場合は、単なる受益者変更ではなく、信託終了に伴う登記が必要です。

 

また、受益権を贈与した場合などは、登録免許税とは別に贈与税などが問題になる可能性があります。

 

信託不動産を売却したときの登記費用

 

家族信託の途中で、受託者が信託契約に基づいて信託不動産を売却することがあります。

信託不動産を売却すると、その不動産は現在の信託財産から外れ、買主に所有権が移転します。

この場合、主に次の登記を行います。

 

  • 売買による所有権移転登記
  • 信託登記の抹消

 

売買による所有権移転登記の登録免許税

 

一般的な売買による所有権移転登記の税率は、次のとおりです。

 

  • 土地:固定資産税評価額×1.5%
  • 建物:固定資産税評価額×2%

 

土地の1.5%という税率は、2029年3月31日までに受ける登記に適用される軽減税率です。本来の税率は2%です。

一定の要件を満たす住宅用家屋については、建物の所有権移転登記に別の軽減税率が適用されることがあります。

 

信託登記抹消の登録免許税

 

信託登記を抹消する場合の登録免許税は、原則として不動産1個につき1,000円です。

 

計算例

 

固定資産税評価額4,000万円の土地を売却する場合は、次のように計算します。

 

所有権移転登記
4,000万円×1.5%=60万円

信託登記の抹消
1,000円

登記全体の登録免許税
60万円+1,000円=60万1,000円

 

ただし、一般的な不動産売買では、所有権移転登記の登録免許税を買主が負担し、信託登記の抹消費用を売主側が負担することが多くあります。

 

実際の費用負担は、売買契約の内容や当事者間の合意によって決まります。

 

信託が終了するときの登記費用

 

家族信託が終了した場合は、信託不動産を残余財産の帰属先に移すための登記と、信託登記の抹消が必要です。

信託終了時の登録免許税は、誰に不動産を帰属させるかによって異なります。

 

当初の委託者に不動産を戻す場合

 

信託財産を、信託開始時から引き続き委託者である人に戻す場合は、一定の要件の下で、所有権移転登記部分の登録免許税が非課税となります。

ただし、信託登記の抹消については、原則として不動産1個につき1,000円の登録免許税がかかります。

 

委託者の相続人に不動産を帰属させる場合

 

委託者兼受益者の死亡によって信託が終了し、その相続人に信託不動産を帰属させる場合は、一定の要件を満たすと、相続による所有権移転登記とみなされます。

この場合の登録免許税率は、固定資産税評価額の0.4%です。

 

ただし、この取扱いを受けるためには、原則として次のような要件を満たす必要があります。

 

  • 信託財産を受託者から受益者に移すこと
  • 信託開始時から引き続き、委託者のみが元本の受益者であること
  • 不動産を取得する受益者が、信託開始時の委託者の相続人であること
  •  

残余財産帰属権利者についても、信託の清算中は受益者とみなされ、一定の場合にはこの取扱いが認められます。

 

その他の人に不動産を帰属させる場合

 

当初の委託者への返還や、一定の要件を満たす相続人への帰属に該当しない場合は、原則として固定資産税評価額の2%の登録免許税がかかります。

 

このほか、信託登記の抹消について、不動産1個につき1,000円が必要です。

 

信託終了時の登録免許税は、信託契約の定め、委託者・受益者・帰属権利者の関係、信託期間中の受益者の変更の有無などによって結論が変わります。

「信託中の受益者に不動産を帰属させれば、必ず登録免許税が非課税になる」というものではありません。

 

また、不動産取得税についても、信託終了後の帰属先や信託契約の内容によって取扱いが異なります。受益者だった人が取得するという理由だけで、当然に非課税になるわけではありません。

 

登記を司法書士に依頼するときの費用

 

家族信託の登記を司法書士に依頼した場合は、登録免許税や証明書取得費用などの実費とは別に、司法書士報酬がかかります。

 

司法書士報酬は、主に次の事情によって異なります。

 

  • 信託する不動産の数
  • 土地や建物の固定資産税評価額
  • 信託契約書の作成を依頼するか
  • 抵当権などの担保権が設定されているか
  • 金融機関との調整が必要か
  • 信託内容や受益者の承継方法が複雑か
  • 公正証書の作成を行うか

 

そのため、「不動産1件につき一律いくら」と判断することはできません。

家族信託の設計、信託契約書の作成、信託登記までをまとめて依頼する場合と、すでに作成された信託契約書に基づいて登記手続だけを依頼する場合とでも、費用は異なります。

 

依頼する際は、次の費用がそれぞれいくらかかるのか、事前に見積書で確認することが大切です。

 

  • 信託契約書の作成費用
  • 登記申請の司法書士報酬
  • 登録免許税
  • 公証人手数料
  • 証明書取得費用などの実費

 

家族信託の登記費用は信託内容によって異なる

 

不動産を家族信託する場合は、信託開始時だけでなく、受益者や受託者の変更時、不動産の売却時、信託の終了時にも登記費用が発生することがあります。

 

特に信託終了時は、不動産の帰属先や信託期間中の受益者の状況によって、登録免許税が非課税となる場合、0.4%となる場合、2%となる場合があります。

 

家族信託は、契約書のわずかな違いによって、将来必要となる登記手続や税負担が変わる可能性があります。

契約を締結する前に、信託開始時だけでなく、受益者の死亡後や信託終了後の登記まで確認した上で、信託内容を設計することが重要です。

 

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