【コラム】相続した山林・農地・使わない土地を放置するリスクとは
2026/10/26
こんにちは。司法書士法人あかりテラスです。
相続財産を調べていると、実家から離れた山林や農地、使う予定のない土地が見つかることがあります。
「場所を見たことがない」
「価値がほとんどないと思う」
「固定資産税が少額なので、そのままでよいのではないか」
このように考え、手続きを後回しにしてしまう方も少なくありません。
しかし、使っていない土地でも、所有している限り管理や税金の負担は残ります。相続登記をしないまま年月が経つと、相続人が増え、売却や処分が難しくなることもあります。
この記事では、山林・農地・使わない土地を放置するリスクと、早めに確認したい対処法を解説します。
1.使わない土地も相続手続きが必要

山林や農地、原野、私道なども、自宅や預貯金と同じ相続財産です。
価値が低い土地や買い手が見つかりにくい土地でも、相続の対象から外れるわけではありません。
遺言書がない場合は、相続人全員で誰が土地を引き継ぐのかを決めます。
「誰も欲しくないから、そのままにする」
「価値がないので名義変更はしない」
このように放置しても、土地の所有関係は解決しません。亡くなった方の名義が残り、次の世代へ問題が引き継がれます。
山林や農地も相続登記の対象です。まずは次の資料を確認し、所有していた土地を把握しましょう。
- 固定資産税の課税明細書
- 権利証や登記識別情報
- 登記事項証明書
- 名寄帳
- 売買契約書
- 農地や山林に関する通知書
課税明細書に載っていない土地が見つかることもあります。場所が分からない場合は、登記簿や公図をもとに確認します。
2.土地を放置する主なリスク

使っていない土地でも、所有者には管理責任があります。
税金や管理費用がかかる
土地を利用していなくても、固定資産税などがかかる場合があります。
遠方の土地では、現地確認や草刈りを業者へ依頼する費用も必要です。山林では倒木や土砂流出、農地では雑草や害虫が問題になることがあります。
近隣や道路へ被害が及べば、所有者として対応を求められる可能性があります。
境界や利用状況が分からなくなる
長く現地を確認しないと、境界標がなくなったり、隣地との境が分からなくなったりします。
樹木や竹の越境、第三者による無断使用に気付かないこともあります。
将来売却する際に、測量や越境の解消へ費用がかかる場合もあります。
相続人が増えて処分しにくくなる
相続登記をしないまま次の相続が起きると、関係する相続人が増えます。
相続人が増えるほど、戸籍収集や連絡、話し合いに時間がかかります。面識のない相続人や連絡が取れない人がいると、売却や名義変更が進まないこともあります。
共有名義にした場合も、売却には原則として共有者全員の協力が必要です。
3.山林・農地を相続した場合の注意点

山林や農地には、通常の土地とは異なる届出や制限があります。
山林を相続した場合
相続した土地が森林法上の森林に該当する場合は、市町村への届出が必要になることがあります。
あわせて次の点を確認しましょう。
- 現地へ入るための道があるか
- 境界が分かるか
- 倒木や土砂流出のおそれがないか
- 保安林などの指定がないか
- 伐採や搬出が可能か
木が生えていても、必ず価値があるとは限りません。伐採や搬出費用の方が高くなることもあります。
農地を相続した場合
農地を相続したときは、農業委員会への届出が必要です。
相続による取得自体に農地法の許可は原則不要ですが、売却や貸付、宅地への変更には別の手続きが関係します。
確認したい主な点は次のとおりです。
- 現在誰かが耕作しているか
- 貸付や利用権の設定がないか
- 売却や貸付が可能か
- 農地転用が認められる可能性があるか
- 水路や農道の管理負担がないか
自分で耕作できない場合は、農業委員会などへ早めに相談しましょう。
4.売却・貸付・国庫帰属などの対処法

使わない土地は、現地や権利関係を確認したうえで処分方法を考えます。
売却する
一般の不動産会社だけでなく、山林や農地を扱う専門業者へ相談する方法があります。
ただし、接道がない土地や境界不明の土地、利用制限のある農地は買い手が見つかりにくい傾向があります。
売却前には次の点を確認しましょう。
- 相続登記が済んでいるか
- 土地の場所や境界
- 接している道路
- 抵当権などの登記
- 法令上の制限
- 測量や草刈りの費用
近隣所有者へ相談する
単独では使いにくい土地でも、隣接地の所有者にとっては価値がある場合があります。
農地であれば近隣の農家、山林であれば隣接する所有者へ相談する方法もあります。
貸す・管理を委託する
農地は農業委員会などを通じて貸し出せる場合があります。
山林についても、森林組合や林業事業者へ管理を相談できることがあります。
ただし、立地や面積によっては借り手や管理先が見つからない場合もあります。
相続土地国庫帰属制度を検討する
相続などで取得した土地は、一定の要件を満たせば国へ引き渡せる可能性があります。
ただし、次のような土地は利用できないことがあります。
- 建物がある
- 境界が明らかでない
- 所有権をめぐる争いがある
- 第三者が使用している
- 管理に大きな費用がかかる
- 担保権などが設定されている
審査手数料に加え、承認後は負担金の納付が必要です。
土地だけを相続放棄することはできない
管理が難しい土地だけを相続放棄することはできません。
相続放棄をすると、預貯金や自宅など、亡くなった方の財産を原則としてすべて引き継がないことになります。
相続放棄には期限もあるため、他の財産や借金を確認したうえで早めに判断する必要があります。
5.まとめ
相続した山林や農地、使う予定のない土地を放置すると、税金や管理費用が続きます。
倒木や雑草、境界などの問題が起きれば、近隣への対応が必要になることもあります。
また、相続登記をしないまま次の相続が起きると、相続人が増え、売却や処分が難しくなります。
使わない土地を相続したら、次の点を確認しましょう。
- 相続登記が済んでいるか
- 土地の場所や境界が分かるか
- 現在誰かが使用していないか
- 税金や管理費用はいくらか
- 山林や農地の届出が必要か
- 売却や貸付ができるか
- 相続土地国庫帰属制度を利用できるか
大切なのは「価値が低そうだから」と何もしないままにしないことです。
司法書士法人あかりテラスでは、熊本での相続登記や相続人調査、遺産分割協議書の作成に対応しています。
山林や農地、原野、接道のない土地など、使い道の見つかりにくい不動産についてもご相談いただけます。
相続登記だけで終わらせず、売却や管理、国庫帰属など、その土地を今後どうするのかまで一緒に整理します。
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