【コラム】相続登記をしないまま放置するとどうなる?期限・過料・手続きの流れを解説
2026/06/08
こんにちは。司法書士法人あかりテラスです。
相続登記をしないまま放置すると、10万円以下の過料の対象となる可能性があるほか、不動産の売却や次世代の相続手続きが難しくなることがあります。
熊本で相続登記や相続不動産にお悩みの方へ、期限・過料・手続きの流れを分かりやすく解説します。
1.相続登記とは?

相続登記とは、亡くなった方が所有していた土地や建物を相続人の名義へ変更する手続きです。
たとえば父名義の実家を長男が相続する場合、登記簿上の所有者を父から長男へ変更します。これが相続登記です。
令和6年4月1日から相続登記が義務化されました。
原則として不動産を相続したことを知った日から3年以内に申請する必要があります。
相続登記は単なる不動産の名義変更ではありません。
誰が不動産を引き継ぐのか。
今後も住み続けるのか。
売却するのか。
空き家として管理するのか。
子どもや孫へ負担を残さない形にできるのか。
こうした相続後の不動産の行き先を考えるための大切な手続きでもあります。
あかりテラスでも次のようなご相談を多くいただきます。
「親名義の実家がそのままになっている」
「祖父母名義の土地が残っている」
「相続した空き家を売却したい」
「山林や農地を相続したが管理できない」
「相続登記の必要書類や費用が分からない」
以前は相続登記を行うかどうかが相続人の判断に任されていました。
そのため亡くなった方の名義のまま不動産が長期間放置されるケースも少なくありませんでした。
相続登記が行われていない土地が増えると、登記簿を確認しても現在の所有者が分からない「所有者不明土地」が増えてしまいます。
こうした問題を解消するため相続登記が義務化されました。
2.相続登記の期限と10万円以下の過料
相続登記の期限は原則として、相続によって不動産を取得したことを知った日から3年以内です。
単純に亡くなった日から必ず3年以内というわけではありません。
自分が相続人であることを知り、不動産を相続によって取得したことを知った日が基準となります。
遺産分割協議によって不動産を取得する人が決まった場合は、協議が成立した日から3年以内にその内容に沿った相続登記を申請する必要があります。
正当な理由なく相続登記をしない場合、10万円以下の過料の対象となる可能性があります。
過料は刑罰ではありません。法律上の義務に違反した場合に科される金銭的な制裁です。
ただし相続登記が遅れている方の多くは、故意に手続きを放置しているわけではありません。
「兄弟と話し合う機会がなかった」
「遠方の相続人と連絡が取れなかった」
「実家を誰が相続するか決められなかった」
「親が亡くなった後の手続きが多く後回しになった」
「相続登記が必要だと知らなかった」
このような事情で手続きが進んでいないケースもあります。
大切な方を亡くした後、すぐに不動産のことまで考えられないのは自然なことです。
しかし時間が経つほど戸籍の収集や相続人の確認が難しくなります。過料を避けるためだけでなく、次の世代へ負担を残さないためにも早めの確認が大切です。
3.相続登記を放置すると起こり得る問題

相続登記をしないまま放置すると、過料以外にもさまざまな問題が生じます。
不動産をすぐに売却できない
亡くなった方の名義のままでは原則として不動産を買主へ売却できません。
相続した実家や空き家を売却するには、先に相続人の名義へ変更する必要があります。その後で買主へ所有権を移転します。
売却を始めてから相続登記が終わっていないことに気づくと、戸籍の収集や遺産分割協議に時間がかかります。
その結果、売却の機会を逃すこともあります。
相続人が増えて手続きが複雑になる
相続登記をしない間に相続人の一人が亡くなると、その方の相続人も新たな関係者になります。
たとえば祖父名義の土地を放置している間に祖父の子どもも亡くなった場合、孫や曾孫まで相続人が広がることがあります。
相続人が増えると連絡先が分からない方や遠方に住む方が含まれる可能性があります。
認知症の方や協力を得られない方がいる場合は、さらに手続きが難しくなります。
空き家や土地の管理が難しくなる
登記名義が亡くなった方のままだと、誰が管理するのかが曖昧になりやすくなります。
空き家を放置すると建物の老朽化や雨漏りが進みます。
庭木の越境や草木の繁茂が起こり、倒壊の危険や近隣トラブルにつながることもあります。
固定資産税を一人で支払っていても、その方だけが当然に所有者になるわけではありません。
納税していることと不動産の名義を取得することは別の問題です。
熊本では実家や空き家だけでなく、山林や農地、私道、共有地を相続するケースもあります。
場所や境界が分からない土地や利用予定のない不動産を相続することもあります。
そのため名義変更とあわせて今後の管理や処分について考える必要があります。
4.相続登記の手続きの流れ

相続登記は、一般的に次の流れで進めます。
1.相続した不動産を確認する
最初に亡くなった方が所有していた土地や建物を調べます。
固定資産税の納税通知書や課税明細書、名寄帳、登記簿などを確認します。
土地と建物で名義が異なる場合もあります。私道持分や共有持分、山林、農地などが含まれていることもあります。
ご家族が把握していない不動産が見つかるケースもあるため、漏れのない調査が大切です。
2.戸籍を集めて相続人を確認する
次に亡くなった方の出生から死亡までの戸籍を集めます。
あわせて相続人の現在の戸籍も取得し、誰が相続人になるのかを確認します。
相続人が一人でも漏れていると遺産分割協議が無効になる可能性があります。そのため戸籍による正確な相続人調査が必要です。
3.遺言書の有無を確認する
遺言書がある場合は原則としてその内容に従って相続登記を進めます。
自筆証書遺言の場合は家庭裁判所での検認が必要になることがあります。
ただし公正証書遺言や法務局の自筆証書遺言書保管制度を利用した遺言書は、原則として検認が不要です。
4.遺産分割協議を行う
遺言書がない場合や不動産の取得者が決まっていない場合は、相続人全員で遺産分割協議を行います。
誰がどの不動産を相続するのかを決め、その内容を遺産分割協議書にまとめます。
共有名義は一見公平に思えることがあります。
しかし将来不動産を売却する際には、共有者全員の同意と協力が必要です。次の相続が発生すると共有者がさらに増える可能性もあります。
将来の売却や管理まで考えたうえで名義を決めることが大切です。
5.法務局へ相続登記を申請する
必要な準備が整ったら不動産の所在地を管轄する法務局へ申請します。
法務局の審査が終わると登記が完了し、登記簿上の名義が相続人へ変更されます。
相続関係が複雑な場合や何代も前の相続が終わっていない場合は、通常より手続きに時間がかかることがあります。
早めに状況を確認しておくと、その後の売却や管理も進めやすくなります。
あかりテラスでは、相続登記だけでなく、預貯金の相続手続き、遺産分割協議書の作成、相続不動産の売却・処分のご相談まで、相続全体を見ながらサポートしています。
5.まとめ
相続登記は亡くなった方名義の不動産を相続人の名義へ変更する手続きです。
令和6年4月1日から義務化されました。原則として不動産を相続したことを知った日から3年以内に申請する必要があります。
相続登記を放置すると10万円以下の過料の対象となる可能性があります。
それだけでなく不動産を売却できない、相続人が増える、空き家の管理が難しくなるといった問題も生じます。
大切なのは相続登記だけを終わらせることではありません。
不動産を誰が引き継ぐのか。今後どのように利用するのか。管理や処分をどうするのか。そこまで整理することが将来の負担やトラブルを防ぐことにつながります。
司法書士法人あかりテラスでは熊本での相続登記や遺産分割協議書の作成を承っています。
預貯金の相続手続きや相続不動産の売却、空き家・山林の処分についても対応しています。
名義変更だけで終わらせず、ご家族のこれからと不動産のこれからを一緒に整理します。
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