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家族信託と遺言は併用できる?優先関係と上手な使い分け方法を解説

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【コラム】家族信託と遺言は併用できる?優先関係と上手な使い分け方法を解説

【コラム】家族信託と遺言は併用できる?優先関係と上手な使い分け方法を解説

2026/06/22

家族信託が広く知られるようになったことで、「遺言の代わりに家族信託を使えばいい?」「遺言はもう不要なのか?」など相続対策で悩むケースも出てきました。しかし大事なのは、家族信託と遺言は対立する関係ではなく併用が可能な仕組みだという点です。

それぞれの関係性など、生前対策を組み立てるポイントを押さえておきましょう。

 

家族信託と遺言の基本的な違い

まずはそれぞれの仕組みを簡単に整理します。

 

遺言は、被相続人が亡くなったときにはじめて効力が生じる「最終意思の表示」です。誰にどの財産を相続させるか、遺贈するかを定め、原則として相続開始時点の財産全体が対象です。

 

一方の家族信託は、生前に財産を信託財産として切り離し、受託者に名義を移して管理や処分を任せる仕組みです。契約締結後すぐに効力が生じる点、財産の管理・承継方法をあらかじめ詳細に設計できる点が異なります。

 

家族信託と遺言は併用できます

結論から言えば「家族信託と遺言は併用が可能」です。

 

家族信託は契約で指定した「信託財産」だけに効力を持ちますので、対象に含めなかった預貯金や不動産、動産などがあれば相続財産として残ります。その分配方法については遺言や遺産分割協議に委ねられます。

 

そのため、次のように併用すれば漏れのない相続対策の実現へとつなげられます。

 

・自宅不動産や収益不動産など運用方法を細かく設計したい財産 → 家族信託で指定

・それ以外の財産 → 遺言で配分方法を指定

 

家族信託でカバーできる範囲には限りがあるため、遺言を併用して「信託財産以外」を整えることも検討すると良いでしょう。

 

優先関係の考え方

家族信託と遺言を併用した結果、対象とする財産の内容が被ってしまうなどの問題が生じることもあります。この場合の優先関係についても確認しておきましょう。

 

信託財産については「信託契約」が優先

ある不動産を信託財産として「委託者の死亡後は長男に最終的に取得させる」と定めたとします。この不動産について、後から作成した遺言で「次男に相続させる」と書いても、その部分は強制力を持ちません。

 

信託財産の帰属先は信託契約の内容で決まるため、同じ財産について矛盾する遺言を作成しても、遺言の方は「そもそも効力を持つ対象がない」と解されるのが一般的です。

 

信託財産以外については「遺言」が優先

信託財産として指定し、委託者の財産から切り離した財産のみが信託契約に拘束されます。

 

契約で定めたもの以外にまで、包括的に特定の方の財産を信託できません。そこで家族信託で言及されなかった財産については、通常どおり遺言が効力を持ちます。

 

信託終了後に戻ってきた財産について

信託の設計によっては、あるタイミングで信託が終了し、残った財産が委託者やその相続人に戻る(帰属する)ことがあります。

 

この場合、信託終了時点で委託者が存命であれば、その後に作成された遺言によって当該財産の承継先をあらためて指定できる余地もあります。

 

ただし、信託契約上、最終的な帰属権利者が別に指定されているなら、その指定が優先されます。

 

併用が効果的なケース

「認知症対策をしつつも最終的には公平な遺産承継を実現したい」といったケースなどでは併用が有効です。

 

将来的な認知症を見据え、自宅や賃貸物件等の管理を子どもに任せるのは家族信託の典型例です。
しかし家族信託だけだと「子どもの1人が受託者として管理を続けること」は決められても、「兄弟姉妹間での最終的な公平(子ども間で均等に承継させたいなど)」までカバーしきれないことがあります。

 

そこで家族信託で管理運用の仕組みを定め、さらに遺言により最終的な相続分を調整するという役割分担も視野に入れると良いでしょう。

 

設計方法に注意

家族信託と遺言を併用すること自体は有効ですが、設計の仕方によってはかえってトラブルを招くことになりかねません。具体的な注意点として以下が挙げられます。

 

内容の矛盾を避ける

同じ財産について家族信託と遺言で異なる指定をしない。

信託財産については信託が優先されるが、遺言に異なる内容が書かれていると「どちらが正しいのか」を巡り争いが起こるおそれがある。

信託契約書と遺言書を別々に作成する場合でも、どの財産を信託財産とするのか、遺言の対象とするのはどの財産なのかを整理し、重複や漏れがないことを確認しておくべき。

遺留分への配慮

遺言を併用する際は遺留分にも配慮する。

家族信託を用いても、相続人の遺留分に関する規律を完全に無視できるわけではない。設計方法によっては実質的に特定の相続人に偏った承継と判断され、遺留分侵害額請求を受けるリスクが残ってしまう。

信託終了後も見据える

 

家族信託終了時の残余財産を誰に帰属させるのか、その後遺言をどう関与させるのか、ゴールの設計も重要。

 

たとえば「委託者死亡後に子ども世代へ順次承継させる」のか、「一度信託を終了させてから遺言で承継先を指定する」のかなど、複数の選択肢がある。

 

個別の事情を踏まえて検討することが大切です。家族信託や相続に強い司法書士と相談しながら慎重に備えることをおすすめします。

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