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【コラム】家族信託と遺言ではどちらが優先される?知っておきたい相続対策の関係性

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【コラム】家族信託と遺言ではどちらが優先される?知っておきたい相続対策の関係性

【コラム】家族信託と遺言ではどちらが優先される?知っておきたい相続対策の関係性

2026/07/23

「家族信託を活用した資産承継」「遺言書作成による遺産の分配」はいずれも相続対策として有効な手段です。

ただ、よく考えて設計しないと同じ財産に対して矛盾するルールを設定してしまうおそれがあります。もし、家族信託の契約内容と遺言内容が抵触しているとどうなるのか。当記事ではこの優先関係を説明するとともに、上手く組み合わせるための考え方についても解説します。

 

家族信託と遺言の特徴を整理

どちらも「財産を誰に渡すか」を決める手法ですが、仕組みが根本から異なります。

 

遺言は本人の単独行為であり、亡くなってからはじめて効力が生じます。受遺者(財産を受け取る方)の同意は不要で、いつでも本人の意思だけで書き直せます。

 

一方、家族信託は委託者(財産を預ける人)と受託者(財産を管理する人)の間で締結する契約です。そのため1人で一方的に始められるものではありません。

 

その他重要な特徴を以下にまとめます。

 

比較項目

家族信託

遺言

法的性質

契約行為

単独行為

効力の発生時期

契約成立時点から可能

死亡後のみ

変更や撤回

原則、当事者全員の合意が必要

本人の意思でいつでも可能

生前の資産承継

可能(認知症対策に有効)

不可

二次相続以降の指定

可能

法的拘束力なし

 

どちらが優れているという問題ではなく、何を実現したいかによって適切な選択が変わります。

 

抵触する内容があったときの優先関係

同じ財産について家族信託と遺言で指示した内容が重複・矛盾したとき、原則として家族信託が優先します。これは遺言書を作成した時期の前後を問いません。

 

信託契約締結後に遺言書を作成したケース

信託契約が結ばれると、その財産は「信託財産」となり、委託者(本人)固有の財産から切り離され、受託者へと移転します。

 

委託者本人の財産でなくなっている以上、後から遺言書を作成しても信託財産には効力が及びません。

 

「後から書いた遺言書の方が有効」というルールが適用されるのは、同じ本人固有の財産についての遺言書同士の話であって、信託財産は他人の財産と考えます。

 

遺言書作成後に信託契約を締結したケース

すでに遺言書が作られている状況で信託契約を結んだとしても、結果は変わりません。

 

相続開始前の段階で遺言書の効力は生じていませんので、信託契約の効力が生じた時点で当該財産は信託財産へと組み入れられます。よって、遺言の効力は及ばなくなります。

 

結果として信託財産となった財産を対象とする遺言の記載は無効となりますが、遺言書全体が無効になるわけではありません。そのほかの部分について、別途法的な問題がなければ有効に機能します。

 

死亡後に効力を生じる信託を締結したケース

家族信託には、「死亡した時点」から効力が生じるよう設計するパターン(いわゆる遺言代用信託)もあります。

 

このパターンでは、家族信託も遺言も、同時に効力を生じることとなります。

 

しかしながら、信託契約自体は生前に有効に成立している「生前処分その他の法律行為」と評価されるため、その内容と抵触する遺言については撤回されたものと扱われるのが一般的です。

 

したがって、相続開始時点ですでに信託財産として分離されていなくても、信託で定めたルールが基本的には優先され、重複や矛盾する遺言の記載は効力を失うことになるでしょう。

 

併用が効果的な理由

家族信託が優先されるからといって、遺言書が不要になるわけではありません。むしろ、両者を上手に組み合わせることでより漏れのない相続対策が可能になります。

 

信託財産以外をカバーできる

家族信託でカバーできるのは、契約で明示した「信託財産」に限られます。

 

たとえば、不動産と一部の預金を信託していても、それ以外の預金や株式、車、貴金属など信託に組み込んでいない財産については、相続発生時に遺産分割協議が必要になります。

 

一方で、信託財産以外のすべての財産を対象に遺言で承継先を指定しておけば、財産全体の行き先を明確にできます。

 

遺言でしか定められない事項がある

家族信託は財産の管理や承継に特化した枠組みです。子の認知や相続人の廃除・取消、未成年後見人の指定などは信託できるものではありません。

 

これらが必要なケースでは、家族信託のみで相続対策を万全にできず、遺言書にその旨記載するなどして対応する必要があります。

 

家族信託と遺言の内容が矛盾しないように注意

家族信託と遺言を併用するなら、「両者の内容を矛盾させないこと」を注意しましょう。

 

信託契約で「自宅は自分の死亡後に長男に帰属させる」と定めながら遺言では「自宅は次男に相続させる」と書いても、信託財産の部分は遺言の効力が及ばないため、遺言の記載は実質的に無効となります。

 

しかしながら、当事者に法的な理解がなければ矛盾する遺言が原因となり親族間でトラブルに発展する危険性があります。

 

混乱や紛争を防ぐためにも、信託契約書と遺言書の両方について専門家と内容を確認しながら整合性を意識しながら作成することが重要です。

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