司法書士法人あかりテラス

【コラム】認知症になる前にできる相続対策|任意後見・家族信託・遺言の違い

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【コラム】認知症になる前にできる相続対策|任意後見・家族信託・遺言の違い

【コラム】認知症になる前にできる相続対策|任意後見・家族信託・遺言の違い

2026/10/12

こんにちは。司法書士法人あかりテラスです。

 

「認知症になった後も、家族が預金や不動産を管理できるようにしておきたい」
「施設へ入ることになったら、自宅を売却できるようにしたい」
「亡くなった後は、家族が困らないよう財産の分け方を決めておきたい」

 

将来について考え始めたとき、よく耳にするのが任意後見、家族信託、遺言です。

 

いずれも将来への備えですが、できることや利用する時期は異なります。

 

任意後見は、判断する力が低下した後の生活や財産管理に備える制度です。家族信託は、預貯金や不動産などを信頼できる家族へ託し、決めた目的に沿って管理してもらう仕組みです。

 

遺言は、主に亡くなった後の財産の承継先を決めるために利用します。

 

一つの制度ですべての問題を解決できるとは限りません。大切なのは、ご本人がどのように暮らしたいのかを確認し、目的に合った備えを選ぶことです。

 

この記事では、任意後見・家族信託・遺言の違いと選び方を分かりやすく解説します。

 

 

 

 

1.認知症になると難しくなる手続き

 

 

認知症になったからといって、直ちにすべての契約ができなくなるわけではありません。

 

ただし、契約内容を理解して自分で判断する力が低下すると、預貯金や不動産に関する手続きを進められない場合があります。

 

たとえば次のような場面です。

 

  • 定期預金の解約
  • 自宅や空き家の売却
  • 賃貸物件の管理契約
  • 介護施設への入所契約
  • 家族への財産管理の依頼
  • 遺言書の作成
  • 生前贈与

 

家族であっても、本人名義の預金を自由に引き出したり、不動産を本人に代わって売却したりできるわけではありません。

 

「子どもに任せると話していた」
「家族全員が売却に賛成している」

 

このような事情があっても、本人の意思を確認できなければ手続きが止まる可能性があります。

 

施設への入所費用を準備するために自宅を売却したくても、その時点で本人が契約内容を理解できなければ、すぐに売却できないこともあります。

 

任意後見や家族信託の契約、遺言書の作成にも、本人が内容を理解して判断できることが必要です。

 

元気なうちに備える目的は、単に手続きを早く済ませることではありません。

 

これからどのように暮らしたいのか。財産を誰に管理してほしいのか。亡くなった後は誰へ残したいのか。

 

ご本人が自分の希望を伝え、将来の暮らしや財産の扱いを選べるうちに準備することが大切です。

 

2.任意後見・家族信託・遺言の違い

 

3つの制度は、それぞれ異なる役割を持っています。

 

任意後見|生活と財産管理を任せる


任意後見は、将来自分の判断力が低下した場合に備え、支援してもらう人と支援内容をあらかじめ決めておく制度です。

 

本人の判断力が十分にあるうちに、公正証書で契約を結びます。その後、判断力が低下し、家庭裁判所が任意後見監督人を選任すると支援が始まります。

 

任せられる内容の例は次のとおりです。

 

  • 預貯金の管理や支払い
  • 介護サービスや施設入所の契約
  • 医療費や生活費の支払い
  • 不動産の管理
  • 行政機関への届出

 

誰に何を任せるのかを、自分で決められる点が特徴です。

 

ただし、任意後見人ができるのは契約で定めた範囲に限られます。また、任意後見監督人への報酬が必要になる場合があります。

 

家族信託|財産の管理を家族へ託す

 

 

家族信託は、預貯金や不動産などを信頼できる家族へ託し、決めた目的に沿って管理してもらう仕組みです。

 

たとえば父親の自宅を長男へ信託し、将来父親が施設へ入所した際には、長男が自宅を売却できるようにしておく方法があります。売却代金は、父親の生活費や施設費に充てます。

 

契約では、主に次の内容を決めます。

 

  • どの財産を託すか
  • 誰が管理するか
  • 誰のために使うか
  • どのような目的で管理するか
  • 本人が亡くなった後に誰へ引き継ぐか

 

家族信託の対象になるのは、契約に含めた財産だけです。

 

また、主な目的は財産の管理です。介護施設への入所契約など、本人の生活に関するすべての手続きを家族へ任せられるわけではありません。

 

遺言|亡くなった後の財産の承継先を決める

 

 

遺言は、自分が亡くなった後に財産を誰へ引き継いでもらうのかを決めるものです。

 

たとえば次のような希望を形にできます。

 

  • 自宅を同居している子へ相続させる
  • 預貯金を子どもたちへ一定の割合で残す
  • 相続人ではない孫やお世話になった人へ財産を渡す
  • 配偶者へ財産を残す
  • 遺言執行者を指定する

 

遺言は亡くなった後に効力が生じるため、生前の預金管理や施設への入所手続きには利用できません。

 

3つの制度を簡単に整理すると、任意後見は「生活と財産の支援」、家族信託は「特定の財産の管理」、遺言は「亡くなった後の財産承継」を担います。

 

3.希望に合った制度の選び方

 

どの制度が合うかは、財産の内容や家族関係、将来の希望によって変わります。

 

自宅や賃貸物件を家族に管理してほしい場合

 

将来自宅を売却して施設費に充てたい場合や、賃貸物件の管理を家族へ任せたい場合は、家族信託を検討します。

 

ただし、財産を管理する家族には事務や責任が生じます。不動産の状態や住宅ローン、税金も確認し、無理なく続けられるか話し合っておくことが大切です。

 

亡くなった後の分け方を決めたい場合

 

自宅を特定の人へ残したい。配偶者の生活を守りたい。相続人ではない人へ財産を渡したい。

 

このような希望がある場合は、遺言書を作成します。

 

相続人の範囲や遺留分、財産の内容を確認し、希望を実現できる内容に整える必要があります。

 

 

迷ったときは暮らしから考える

 

制度の名前だけで選ぶと、本来の目的に合わないことがあります。

まずは次の点を考えてみましょう。

 

  • 今の自宅で暮らし続けたいか
  • 将来施設へ入る可能性があるか
  • 自宅や賃貸物件を売却する可能性があるか
  • 誰に財産を管理してほしいか
  • 亡くなった後は誰へ財産を残したいか
  • 支援する家族に無理がないか

 

希望を整理すると、どの制度が必要なのかが見えやすくなります。

 

4.制度を組み合わせる場合の注意点

 

 

任意後見・家族信託・遺言は、どれか一つだけを選ぶとは限りません。

 

たとえば、次のような組み合わせが考えられます。

 

  • 家族信託で自宅や一定の預貯金を家族へ託す
  • 任意後見で施設契約や生活上の手続きに備える
  • 遺言で信託していない財産の承継先を決める
  • 見守り契約で定期的に生活状況を確認する
  • 死後事務委任で葬儀や納骨、各種解約を依頼する

 

ただし、制度を増やすほど安心になるとは限りません。

 

契約の作成や管理には費用がかかり、手続きを担う家族にも負担が生じます。家族信託では、財産を管理する人に帳簿の作成や金銭管理などの事務が必要になる場合もあります。

 

また、家族信託に含めていない財産は、信託による管理の対象になりません。任意後見も、契約で定めていないことまで自由に行える制度ではありません。

 

遺言についても、遺留分や相続税などを考慮して内容を決める必要があります。

 

すべての制度を利用するのではなく、ご本人の希望を実現するために必要なものだけを選ぶことが大切です。

 

あかりテラスでは、最初から制度を決めて相談を進めることはありません。

 

ご本人がどのような暮らしを望んでいるのか。誰に何を任せたいのか。ご家族が無理なく支援できるのか。

 

一つずつ整理したうえで、必要な備えを一緒に考えます。

 

5.まとめ

 

認知症になる前に検討できる任意後見・家族信託・遺言は、それぞれ役割が異なります。

 

任意後見は、判断力が低下した後の生活や財産管理を任せるための制度です。

 

家族信託では、預貯金や不動産など特定の財産を家族へ託し、決めた目的に沿って管理してもらいます。

 

遺言は、亡くなった後に財産を誰へ引き継ぐのかを決めるために利用します。

 

認知症への備えを考える際は、次の点を確認しましょう。

 

  • 将来の生活や介護を誰に支えてほしいか
  • 預貯金や不動産を誰に管理してほしいか
  • 自宅を将来売却する可能性があるか
  • 亡くなった後に誰へ財産を残したいか
  • 家族の中に手続きを任せられる人がいるか
  • 支援する家族へ負担が集中しないか

 

大切なのは、制度から考えるのではなく、これからの暮らしから考えることです。

 

司法書士法人あかりテラスでは、熊本での任意後見契約や家族信託、遺言書作成に関するご相談を承っています。

 

公正証書の文案作成や公証役場との調整、不動産の信託登記にも対応しています。見守り契約や財産管理等委任契約、死後事務委任まで含めたご相談も可能です。

 

認知症への備えは、財産を守ることだけが目的ではありません。

 

ご本人が望む暮らしをできる限り続け、ご家族が迷わず支えられる状態を整えるためのものです。

 

あかりテラスでは、ご本人の気持ちを置き去りにせず、ご家族の負担にも配慮しながら、これからに合った備えを一緒に考えます。

 

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