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成年後見制度

判断力が低下した方の暮らしと財産を守る制度

生前対策

認知症や精神障がいなどにより、判断能力が低下した方の人権を守り、日常生活を支えるための制度が「成年後見制度」です。このページでは、制度の基本的な仕組みや適用の条件、手続きの流れ、成年後見人の役割や義務について分かりやすく解説しています。
成年後見制度を適切に活用することで、高齢や病気によって判断力が不十分になった方の暮らしや財産を守る方法をご紹介します。


 

1.成年後見制度とは

成年後見制度とは、判断能力が不十分な方々を法律面や生活面で支援・保護する制度です。
私たちは日常の中で、多くの「契約」を無意識に行っています。
たとえばスーパーで買い物をする、コンビニでお弁当を買う――
書類を交わしたり印鑑を押したりはしませんが、これも立派な契約です。
契約を結ぶには、「自分の行動がどのような結果をもたらすか」を理解できる判断力が必要です。
もし判断能力が不十分な状態で契約を行うと、不利益な契約を結ばされる可能性もあります。
成年後見制度は、こうしたトラブルから本人を守り、安心して生活できるよう支援する仕組みです。

制度を支える理念

成年後見制度では、「ノーマライゼーション」や「自己決定の尊重」といった理念と、本人の保護とのバランスが大切とされています。
そのため、後見人には単に財産を管理するだけでなく、本人の意思や暮らしを大切にしながら生活を支えること(身上配慮義務)が求められています。

 1.ノーマライゼーション 
高齢者や障害者であっても特別扱いせず、今までと同じような生活をさせようとする考え方です。

 2.自己決定の尊重 
本人の自己決定を尊重し、現有能力(残存能力)を活用しようという考え方です。

 3.身上配慮義務 
本人の状況を把握し、配慮する義務です。


 

2.成年後見制度が必要なケース(6つの事例)

ケース1

①将来の不安に備えて、早めの準備をしたい

ひとり暮らしで今は元気でも、将来施設入所や財産管理が必要になるかもしれない。
アパート経営などの資産管理も含め、早めに支援体制を整えたい方。

ケース2

②自分の意思を尊重しながら支援を受けたい

アルツハイマー病と診断されたが、周囲のサポートを受けながら、自分らしい生活を続けたい。
本人の希望を大切にしながら支援を受けたい方。

ケース3

③ 詐欺や訪問販売による契約が心配

高齢の親が、不要な高額商品を勧められると断れずに購入してしまう。
今後、悪質商法による被害を防ぎたいケース。

ケース4

④ 知的障がいのある子どもの将来が不安

自分が亡くなったり、認知症になったときに、子どもが安心して生活できるように、今のうちから備えておきたい方。

ケース5

⑤ 認知症の親の不動産を売却したい

施設や病院の費用を捻出するために、認知症の親名義の家や土地を売却したいが、契約ができず困っているケース。

ケース6

⑥ 親の財産管理をめぐって家族間で不信感がある

認知症の父の財産を管理しているが、他の兄弟から疑いの目を向けられている。
法的に明確な立場で管理したいという希望があるケース。


 

3.成年後見制度の種類

成年後見制度には、以下の2つの種類があります。​

1.任意後見制度

今は元気だが、将来、判断能力が不十分になった時に備えておくための制度です。

もしも将来、判断能力が不十分になったとき、
自分のことを支えてくれる人がいてくれたら——そんなときに備えて、信頼できる支援者とあらかじめ契約を結び、
支援内容や意思を元気なうちに決めておける制度があります。
それが「任意後見制度」です。
年齢とともに、判断力や体力が少しずつ衰えていくのは自然なことです。
それでも、できるだけ自宅で暮らしたい、希望する施設に入りたい、病気になっても困らないよう準備しておきたい——
そんな思いを支えるのが任意後見制度です。
将来の自分のために、今から信頼できる「任意後見人」を決めておくことで、安心してこれからの人生を歩むことができます。

支援する人の呼び名
支援を受ける人の呼び名
契約締結時
任意後見受任者
本人
契約発行時
任意後見人
本人

注:任意後見人には契約を取り消す権限はありません。

  • 任意後見制度とは、将来、判断能力が不十分になったときに備えて、信頼できる人とあらかじめ「任意後見契約」を結んでおく制度です。この契約は、「任意後見契約に関する法律」に基づいて行われます。
  • 任意後見契約では、契約時に当事者同士が合意した内容に基づいて、特定の法律行為について代理権を与えることができます。なお、任意後見制度では、法定後見制度と異なり「同意権」や「取消権」は認められていません。つまり、支援の方法は「代理権」に限定されます。

 任意後見契約とあわせて検討されることが多い契約 

任意後見制度の活用にあたっては、支援の開始時期や内容に応じて、次の2つの契約と組み合わせるケースが一般的です。

1.任意代理契約
任意代理契約は、判断能力がまだ十分にある段階から、支援を受けたい場合に結ぶ契約です。

  • 任意後見制度に基づくものではなく、通常の委任契約として扱われます。
  • 契約時に合意した範囲で、特定の法律行為について代理権を与えることができます。
  • 法定後見と異なり、同意権や取消権はありません

2.みまもり契約
みまもり契約は、支援内容を定めるものではなく、
定期的に連絡を取りながら、信頼関係を築き、状況を見守ることを目的とした契約です。

  • 実際の支援は行いませんが、任意後見人となる予定の人と定期的に関わることで、本人の状態を把握できます。
  • 判断能力の低下が見られたときに、適切なタイミングで任意後見監督人の選任申立てを行う準備が整います。

 任意後見契約を結ぶ前に 
任意後見制度の活用には、信頼できる支援者と、十分に話し合って契約内容を検討することが大切です。
必要に応じて、「任意代理契約」や「みまもり契約」と組み合わせることで、元気なうちから将来にわたる安心を確保できます。

 任意後見制度 料金表 

任意後見契約書作成(公証役場での立ち会い含む)

手数料 15万円~

任意後見制度利用の家庭裁判所への申し立て

手数料 10万円~

※ 公証役場への申請や家庭裁判所への申し立てには別途費用がかかります。
公正証書作成手数料、印紙代金:20,000円前後
任意後見監督人の費用、裁判所の決定による添付資料(診断書、戸籍謄本など)取得費用:事案に応じます。

任意後見人の受任

月額 5万円~

※上記は全て税抜き表示となります。

2.法定後見制度

法定後見制度とは、すでに判断能力が不十分になっている方に代わって、法律行為を行ったり、不利益な契約を取り消したりする制度です。
たとえば、母が認知症になり、財産管理や契約の判断が難しくなった場合、支援者がいないと日常生活に支障をきたします。

支援する人の呼び名
支援を受ける人の呼び名
1補助類型
補助人
被補助人
2保佐類型
保佐人
被保佐人
3後見類型
成年後見人
被後見人

※被補助人・被保佐人・被後見人のことを「被後見人等」と呼びます。
※補助人・補保人・成年後見人のことを「後見人等」と呼びます。

 こんなとき、法定後見制度が必要です 

  • 認知症の母の代わりに、施設への入所契約や介護サービスの手続きをしたい
  • 金融機関での手続きや不動産の管理が必要になった
  • 悪質なセールスで高額な契約をしてしまったので、取り消したい

高齢者宅には、悪質業者や強引な営業マンが訪れることも少なくありません。
判断力が落ちていると、本人の意思に反して契約してしまうリスクがあります。
こうしたとき、**同意権・取消権や代理権をもって本人を守る人=「成年後見人」の存在が必要になります。

 任意後見制度との違い 
任意後見制度は、判断能力があるうちに契約を結ぶことで支援を受ける仕組みです。
しかし、すでに判断能力が低下している状態では、そのような契約は結べません
そこで登場するのが「法定後見制度」です。
この制度では、家庭裁判所が本人の判断能力の程度を確認し、後見人(支援者)を選任します。
法律に基づいて選ばれた支援者であるため、「法定代理人」として正式な立場で支援を行うことができます。

 法定後見制度を利用するには 

  • 家庭裁判所に申立てを行う必要があります
  • 判断能力の程度(後見・保佐・補助)に応じて支援の範囲が決まります
  • 審査を経て、後見人が選ばれると、本人の生活や財産の管理をサポートできます

 

4.手続きの流れ

成年後見制度を利用するには、家庭裁判所への申立てが必要です。ここでは、一般的な「法定後見制度」の流れをご紹介します。

①相談・準備

本人の状況を整理し、成年後見制度が必要かどうかを判断します。
専門家(司法書士・弁護士等)に相談することで手続きがスムーズになります。
 費用の目安:初回相談料:無料または数千円(※当事務所は無料相談

②必要書類の収集

家庭裁判所への申立てには以下のような書類が必要です。

  • 本人・申立人の戸籍謄本・住民票
  • 本人の診断書(所定様式)
  • 財産目録・収支予定表
  • その他、裁判所から指示される書類

③家庭裁判所への申立て

本人の住所地を管轄する家庭裁判所に申立てを行います。
申立てできるのは、本人・配偶者・四親等内の親族などです。

申立時にかかる基本費用

項目
金額の目安
補足
収入印紙(申立手数料)
800円
家庭裁判所への申立手数料
収入印紙(登記費用)
2,600円
成年後見登記のための費用
郵便切手
3,000~5,000円程度
裁判所によって異なります

■鑑定費用(必要な場合)
金額目安:約50,000円
※本人の判断能力を医師が鑑定する必要がある場合に発生します(家庭裁判所が鑑定を命じたときのみ)

専門家に依頼する場合の報酬(参考)

項目
金額の目安
補足
成年後見申立手続き報酬
120,000円~
書類作成・申立手続きサポート等

④家庭裁判所による審査

立て後、家庭裁判所が支援の必要性を調査します。以下のような手続きが行われます。

■ 調査

家庭裁判所調査官が本人や申立人に事情を聞き取り、関係者への照会も行います。

■ 審問(必要な場合)

裁判官が本人や家族に直接面談し、詳細を確認します。

■ 鑑定(必要な場合)

本人の判断能力を正確に把握する必要がある場合、医師による精神鑑定が行われます。

⑤ 審判・後見人等の選任

調査・審問・鑑定を経て、家庭裁判所が後見開始の審判を行います。
審判が出ると、同時に後見人・保佐人・補助人などの支援者が選ばれ、申立人へ通知されます。

■審査期間の目安
司法統計:平成26年1月〜12月「成年後見関係事件の概況」より

  • 2か月以内に終わる件数:76.9%
  • 4か月以内に終わる件数:94.3%

⑥ 即時抗告期間(2週間)

審判に不服がある場合は、原則2週間以内に即時抗告(不服申立て)が可能です。
※任意後見監督人の選任却下に対しても異議申立てができます。

⑦ 後見事務の開始(支援のスタート)

審判が確定すると、選任された後見人が本人の財産管理・生活支援を開始します。
必要な契約や支払い、役所手続きなどを後見人が代理して行います。

⑧ 家庭裁判所の監督

後見人等の業務は、家庭裁判所が継続的に監督します。
必要に応じて「後見監督人」が選任され、第三者としてチェックを行うこともあります。

後見人・監督人の報酬は、原則として本人の財産から支払われます
金額は、業務内容や本人の財産状況に応じて、家庭裁判所が審判で決定します。


 

5.相談会のご案内

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